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#attribution_name 「うちの郷土料理」(農林水産省) (https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/type/soup.html)
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https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?あまねじ/あまだんご あまねじ あまだんご https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_5_1.jpg 小豆 | 小麦粉 日本 群馬県 10 県内全域 米の収穫が終わった秋頃から、群馬では小麦を栽培して二毛作を盛んに行っている。そのため粉食文化が根づいており、特に米の生産量が少ない地域では小麦料理が主食になっていることもある。「あまねじ」は、そんな粉食文化から生まれた郷土料理。小豆で作った甘いお汁粉の中に、小麦粉を水で練った生地をひと口大にして加えて煮込む、おやつのような一品だ。砂糖が貴重だった昔には、おもてなしの料理としても供されていたという。地域としては渋川市で主に食べられているが、ほかのエリアでもさまざまな名前で呼ばれ、親しまれている。例えば、甘い団子という意味合いから川場村では「あまだんご」と呼ばれるほか、「砂糖ねじ」や「すすり団子」と呼ぶこともある。 農作業を行う際には、食事以外にも「小昼飯(こぢゅうはん)」と呼ばれるおやつや軽食を挟むことがある。この小昼飯にあまねじを食べ、甘さで疲れた体を癒やしていた。また、砂糖が貴重であった際には、来客時のもてなしや特別な日の甘味として食べることもあった。川場村では昔、農作業の間にいろりの残り火で豆を加熱し、あまだんごを作っていたという。できるだけ野菜や豆を無駄なく使うための、生活の知恵から生まれた郷土料理といえる。 渋川市のあまねじは、まず鍋に粒あん、湯、塩を入れて煮立たせて汁を作る。別鍋に湯を沸かし、水で練った小麦粉をスプーンで団子状に丸めて入れ、加熱する。最後に小豆の汁に団子状の小麦粉を加え、ひと煮立ちさせたら出来上がり。あまだんごは弱火でゆでた小豆を塩、砂糖で味付けしてさらに煮立たせ、ここに直接水で練った小麦粉をスプーンで一口サイズにして加える。やわらかいほうが、あんが絡みおいしく食べられるのだという。 家庭で一般的に作られているほか、渋川市ではあまねじのレシピをネット上で公開。県内外で広く認知されるよう努めている。また、渋川市で開催されている「健康おやつ教室」にもメニューとして取り上げられるなど、郷土料理の伝統を引き継ぐ取り組みも実施されている。一方川場村では中学生向けに郷土料理の調理実習を行い、あまだんごの作り方を紹介。郷土料理により親しんでもらうように尽力している。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/32_5_gunma.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?あんもち雑煮 あんもち雑煮 餅(あん入り丸餅) | 白味噌 | 大根 | 金時人参 | 豆腐 日本 香川県 37 県内全域 白味噌仕立ての汁に甘いあん入りの丸餅、家族円満の願いを込めて輪切にした大根、金時人参などを入れた雑煮。江戸時代、温暖で雨の少ない気候である香川県では、殖産振興の一つとしてさとうきび栽培が奨励された。讃岐地方の白砂糖は、色が白く口どけがよいことから、綿や塩と並び「讃岐三白」として特産品の代表となった。当時砂糖は貴重品で、一般家庭では普段口にすることができなかったが、明治時代あたりから、年に一度、とっておきの砂糖を使った正月の特別な料理として、雑煮に取り入れるようになったのが「あんもち雑煮」のはじまりといわれている。雑煮に使う白味噌は、保元の乱に敗れ讃岐地方に流された崇徳上皇のもとへ、京都から往来する人々によって伝えられたとされており、冬場の調味料として多くの料理に使われ重宝されてきた。 正月に、おせち料理と共に各家庭で食べられる。白味噌は、大豆の量を減らして米麹を多くし、塩分を控えて、12月頃正月用に仕込み、1ヵ月くらい熟成させた甘口の味噌である。 煮干しでとっただし汁に、丸く輪切にした大根、金時人参を入れ、具材が柔らかくなったらあん餅を入れ、餅が柔らかくなったら豆腐を入れ、一煮立ちしたら白味噌を煮汁で溶いて入れる。餅が椀にくっつかないように椀の底に大根をおき、その上にあん餅を入れ、さらにその上に大根、金時人参を彩りよく盛り、最後に青のりを振りかけて食す。具材は大根、金時人参や、豆腐が中心であるが、里芋や白ねぎを取り合わせる場合もある。 現在でも、正月の定番料理として多くの家庭で食され、具材や味付けなどの違いは、地域や家庭の味として受け継がれている。また、高等学校や短期大学の授業の教材として取り入れられたり、飲食店の冬場のメニューとして提供されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/anmochi_zouni_kagawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?イカスミ汁 イカスミ汁 白イカ(アオリイカ) 日本 沖縄県 47 県内全域 「イカスミ汁」は、イカ墨を加えた真っ黒な汁物で、白イカとも呼ばれるアオリイカと脂身の少ない豚肉、ンジャナと呼ばれるニガナを煮込み、仕上げにイカ墨加える。食べるとお歯黒のように口が黒くなるユニークな郷土料理だ。イカ特有の甘みとコク、苦菜のほろ苦い苦みが唯一無二の味わいを作っており、特徴で、「アジクーター(旨味のきいた深みのある味)」といわれる味わいがある。また「サギグスイ(下げ薬)といわれ、悪い物を体から出す解毒作用があると言われ、のぼせや頭痛、産後の回復に効くとして、健康食としても重宝されてきた。イカスミの効能を生かすには煮すぎないように作るのがポイントだ。 イカスミは沖縄県の言葉でクリといい、「クリのお汁」ともとも呼ばれている。イカスミは、沖縄ではポピュラーな食材のひとつで、雑炊に入れた「クリジューシー」やソースの代わりにイカスミで沖縄そばを炒めた「イカスミ焼きそば」もある。 新鮮な白イカ(アオリイカ)が手に入ると作られる家庭料理。市販のイカスミを使って作ることもあり、滋養強壮効果があるとして元気になりたいときに食される。 白イカは、墨袋をつぶさないように取り出す。身を開いて皮をむき、きれいに洗ったら食べやすい大きさに切る。この時、繊維に沿うのではなく、繊維をカットするように縦に切ると、イカがやわらかくなる。豚の赤身肉はひと口大の薄切り、ンジャナ(ニガナ)は適当な大きさに切る。鍋にンジャナを敷き、イカ、豚の赤身肉の順に入れ、水を加えて火にかける。アクをすくい、弱火で約1時間、イカがやわらかくなるまで煮る。煮汁にかつおだしを足し、塩で味を調え、墨袋からイカスミを取り出し加える。イカスミは長く煮ないのがポイント。 家庭で一般的に作られるほか、県内の飲食店でも味わえる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/47_12_okinawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?いしる鍋 いしる鍋 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_04_1.jpg いしる | 各種魚介 | 各種野菜 日本 石川県 17 能登地域 「いしる」とは、能登地方に伝わる魚醤のこと。「魚汁(うおしる)」が訛ったものとされ「いしり」や「よしる」とも呼ぶ地域もある。定説はないが、少なくとも1700年代にはつくられていたとされる。また、一説によると、発祥は弥生期、古墳期にさかのぼるともいわれる。いしるは、スルメイカの内臓をおもな原料にするほか、地域によってはマイワシやウルメイワシ、サバ、アジなどが使われる。自然塩を加え、塩漬けにしたあと、数年ほど発酵・熟成させていく。どの地域も地元の魚醤が一番だと言い張るほど、個性が現れる調味料である。ひと昔前の流通網が行き届いていない時代、山村地域では入手しにくい魚の代わりにその旨味を加えるため、いしるを求め、米と交換したという。独特のクセとにおいが特徴で、魚介による旨味が溶けこんでいる。刺身や一夜干し、煮物など用途は多彩。旬の魚介と野菜を煮た「いしる鍋」や「いしるの貝焼き」は地元の冬の定番である。大根やなす、かぶをいしるに漬けこんだ「べん漬け」も有名な郷土料理である。秋田県の「しょっつる」、香川県の「いかなご醤油」と並ぶ「日本三大魚醤」の一つである。 現在でも、各地の事業者がいしるを生産。ビンやペットボトル容器などで供給され、スーパーマーケットなどで気軽に購入できる。「いしる鍋」は調理にそれほど手間がかからないため、現在でも冬の鍋メニューの選択肢の一つになっている。 旬の魚介や野菜などを出汁といしるとともに鍋で煮て食べる。旨味のあるいしるは水と割って煮こむだけでも美味である。昆布出汁にすると、さらに美味しい。ホタテ貝を鍋代わりにする「ホタテの貝焼き」も広く知られている。これは北海道と大阪を結ぶ商船群・北前船によってもたらされた食べ方とされている。 大豆でつくる現在の醤油が普及するにつれて、いしるの消費量は減少傾向にある。また、生産者の高齢化も問題になっている。そういった経緯から、地元生産者や商工会などが「能登のいしり・いしる生産者協議会」を設立。いしるの歴史やいしるを使ったレシピなどを発信している。そのほか、地元飲食店がいしるを使った新たなメニューを開発する動きも起こっている。 情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木悦子氏) https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/ishirunabe_ishikawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?いちご煮 いちご煮 生ウニ | アワビ | 青じそ | ねぎ 日本 青森県 02 南部地方 八戸市や階上町などの太平洋沿岸に伝わる郷土料理で、ウニとアワビの吸い物という高級食材ばかりを使った贅沢な料理。その昔、漁師らが潜って捕ったウニやアワビを浜で豪快に煮たのがはじまりという。大正時代に料亭の料理として、お椀に美しく盛り付けて供されるようになった。「いちご煮」の名前は、椀に盛り付けたとき、アワビなどのエキスによって乳白色に濁った汁に浮かぶ黄金色のウニがまるで、朝露にかすむ野いちごのように見えたことから付けられた。風流でしゃれた名前が人気となり、現代では結婚式などの祝い事に欠かせない料理として大切に受け継がれている。 「青じその出る頃にウニが美味しくなる」といわれるように、ウニは7月ごろが旬である。見た目に上品で高級感もあり、地元ではハレ食の吸い物として、お盆や正月、祝い事などに必ずつくられる。シンプルなだけに素材の質と鮮度が決め手であり、特に良質なウニが獲れる地元ならではの味。他では食べられないと、わざわざ足を運ぶ人も多い。 素材の味を存分に生かすつくり方が正統派。新鮮なウニとアワビを水かカツオ節のだしでさっと煮て、少量の醬油で味をととのえ、青じその千切りをのせるだけのシンプルな料理。舌の上でとろけるウニ、コリッとした食感のアワビ、深みのある潮の香りに青じそのアクセントがたまらない逸品だ。 昔は各家庭で日常的に食べていたが、時代の流れとともにウニやアワビが高級食材として扱われるようになり、身近な料理とはいえなくなった。家庭でつくることは減ったが、1980年に地元業者が缶詰を開発したことから土産品として全国に知られるようになった。階上町では毎年7月に「はしかみいちご煮まつり」を開き、「いちご煮」を浜価格で提供してファンを獲得している。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/ichigoni_aomori.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?いとこ煮 いとこ煮 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_3_1.jpg 小豆 | 白玉粉 | 砂糖 | 塩 日本 山口県 35 県全域、北浦地域、瀬戸内海側 山口県内で広く作られてきた「いとこ煮」は、甘く味付けした小豆と白玉粉のだんごを使うことは共通するものの、地域ごとに特色が異なるのが特徴。特に有名なのが萩地域などの日本海側で作られる「萩風いとこ煮」で、冷たい汁物仕立て。昆布などのだしを砂糖や醤油、塩などでととのえた城下町らしい澄んだ汁に、小豆と白玉のほかにシイタケ、かまぼこなどを入れるものだ。白玉は、祝い事の時は食紅で赤く、不祝儀の時は白一色、または緑色に染めた白玉団子を入れる。瀬戸内海側の地域では、汁気がなくなるまで煮詰めて甘く仕上げる。野菜の有無や汁気が土地ごとに異なる上、祝い事では一切作られない地域もある。「いとこ煮」と呼ばれる郷土料理は全国各地にあるが、山口県のものは具材を追い追い(甥甥)に入れて煮ることからそう呼ばれるようになったという説があるほか、長州藩士の毛利公が春秋2回重臣を集めてねぎらう時、質素倹約をむねとして振舞ったこの料理を、遺徳をしのんで「遺徳煮」と呼んだ説など由来は諸説ある。 山口県で冠婚葬祭や催し事のあとの宴席に出されてきた行事料理である。また、正月準備を始める12月の事始めの日によく作られてきた。小豆は腹切れしないようにゆっくり煮て、白玉団子はお祝いのときは紅白、仏事には白や緑を入れる。 白玉もちをゆでる。小豆を洗い、鍋にひたひたの水と小豆を入れ、火にかけ一度沸騰させてからざるにあげる。鍋に一度火にかけた小豆と分量の水を入れ、火にかけ、あくを取りながら、小豆の皮をやぶらないようにゆっくり煮る。やわらかくなるまでに水気が飛ぶようなら、さし水を加える。小豆がやわらかくなったら、砂糖・塩で味付けする。だし汁にしいたけを入れて煮立たせ、塩、醤油で味付けし、白玉もちと蒲鉾を加え一煮立ちする。 萩市の食事処や旅館などで味わえる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/43_3_yamaguchi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?いとこ汁 いとこ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ishikawa_17_1.jpg 小豆 | 豆腐 | 根菜類 日本 石川県 17 県内全域 石川県では、秋の伝統行事の一つに「報恩講(ほうおんこう)」がある。これは、浄土真宗の宗祖・親鸞聖人の忌日にあたる11月28日におこなわれる伝統行事である。寺院や檀家に集まり法話を聞いたあとに食べる食事を「お斎(とき)」と呼び、報恩講に集まった客人たちに振る舞われる。報恩講の食事に欠かせないのが、「いとこ汁」である。これは、小豆や豆腐を中心に各種野菜をゆっくり煮こんで味噌汁風に仕立てた汁物である。小豆は親鸞聖人の好物。法会に参加した人たちは「いとこ汁」を食べながら、親鸞聖人への御恩を報いるという。 能登島では「小豆汁」ともいう。「いとこ汁」というユニークな名前の由来は諸説ある。旧暦12月8日に正月の準備をはじめる「御事始(おことはじめ)」に食べられていた「おこと汁」がいとこ汁になったという説や小豆と豆腐などの材料が“いとこ関係”にあるためとも。地域によっては、大根やごぼう、芋などの根菜を“いとこ”としている場合もあり、解釈は個人によって地域によってさまざまである。報恩講の料理には、「いとこ汁」に似た「いとこ煮」もある。これは小豆と根菜類をじっくり煮こんだもの。7日間かけてごぼうを炊き上げた「七日炊きごぼう」なども食べられる。山口県や山形県などにも「いとこ煮」があるが、調理法や材料に共通点が少なく、おもむききが異なる。 報恩講のお斎に欠かせない料理の一つである。金沢は「真宗王国」といわれるほど浄土真宗が浸透しており、現在でも報恩講が伝統行事として根づいている。報恩講では「いとこ汁」のほか、小豆と根菜類を煮こんだ「いとこ煮」や7日間かけて煮こんだ「七日炊きごぼう」なども食べられている。 柔らかくゆでた小豆をだし汁にいれて火にかける。煮立ったら豆腐をいれ、味噌で味を調えてから食べる。精進料理のため、出汁は昆布やしいたけなどが使われる。 行事食のため一般家庭の食卓に上がる機会は少ない。報恩講の習わし自体は現在でも根づいており、その際には「いとこ汁」も食べられている。 情報提供元 : 「金沢・加賀・能登 四季のふるさと料理」(著:青木悦子氏) https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/itokojiru_ishikawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?イナムドゥチ イナムドゥチ https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_3_1.jpg 豚の三枚肉 日本 沖縄県 47 県内全域 沖縄県では、「イナ」はイノシシ、「ムドゥチ」はもどきの意味を持ち、郷土料理の「イナムドゥチ」は「イノシシもどき」という意味。「イナムルチ(いなむるち)」とも呼ばれる。かつてはイノシシの肉を使っていた汁物だったが、イノシシ肉が手に入りづらくなったため、豚肉を使って作られるようになったことからこの名がついた。こんにゃくやかまぼこなどの具材も加えて、甘味噌で味をつけており、とろりとした具だくさんの仕上がり。材料の旨味がしみでた滋味深い味わいが魅力だ。ポイントは沖縄県独特のカステラかまぼこを使っていること。魚のすり身を大量に加えて蒸し揚げしたもので、高級な食材として行事食には欠かせない一品だ。この食材が使われていることからもわかるように、「イナムドゥチ」はお祝いに食べられる料理。琉球王朝時代の流れをくむ五段のお取持ちという供応料理の一の膳に出される祝い料理のひとつでもある。似た料理で「鹿ムドゥチ」があり、こちらはすまし汁に仕立てる。 寒い時季に主に食べられており、旧正月のお祝い、卒業式、入学式、成人式など「おめでたい日に食べる料理」として振る舞われる。 豚の三枚肉は丸ごとゆでてから短冊切りにする。干しシイタケは水で戻し、アク抜きしたこんにゃくや油揚げ、カステラかまぼことともに短冊に切る。豚だしとかつおだしを合わせた汁に、かまぼこ以外の具材を入れ鍋で煮立て、最後にかまぼこと甘味噌を加えて味を調える。使う甘味噌によって塩分の量が異なるので、味見をしながら調整するとよい。また、寒い時季はとろみを強くすると熱が逃げにくくなるため、食べるとより体が温まり、おいしくいただける。 家庭で一般的につくられるほか、県内の飲食店でも味わうこともできる。また、スーパーなどでレトルト商品の購入ができる。 学校給食でも入学式や卒業式、創立記念日などで振る舞われている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/47_3_okinawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?いのぶた鍋 いのぶた鍋 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamanasi_30_1.jpg いのぶた肉 | 白菜 | えのき | 生しいたけ | しめじ | 春菊 | 味噌 | ごま油 日本 山梨県 19 三富地域他 山梨県は8割を森林が占め、狩猟によりジビエ料理なども食べられてきた。特に笛吹川の上流にあたる三富地域は、昔から狩猟が盛んで、いのししをよく食べていたこともあり、戦後、雄のいのししと、雌の豚を掛け合わせた「いのぶた」の飼育が奨励された。「いのぶた鍋」は、ごま味噌汁などにいのぶた肉を入れて、地元でとれた野菜やきのこをたっぷりと煮込んだ鍋料理である。いのぶた肉は獣臭はなく、さっぱりとしていて脂に甘みとコクを感じる。豚肉と比べても柔らかく、風味豊かな赤身が特徴である。さらにたんぱく質が豚肉よりも約20%多く低脂肪である。また、栄養価が高く体が温まるため、スタミナ料理といわれている。飼育に関しては豚よりも期間が長く、病気やストレスを与えないための徹底管理などがとても難しいとされる。野生種の雄いのししの捕獲に加え、神経質な性格のため人に慣れさせるための苦労もあるという。また交配させるための組み合わせやタイミングなども経験を要する。 いのぶた肉は飼育されていることと冷蔵や冷凍設備の向上も加わり、通年食べられている。 鍋にごま味噌汁を煮立たせ、いのぶた肉を入れて火が通ったら、切った野菜を入れて煮ながら食べる。 山梨県が次世代への継承に取り組んでいく郷土食176品目「やまなしの食」のうち、さらに代表的な47品目としてしぼられた「特選やまなしの食」に選定されている。三富地域では食堂や民宿、道の駅などで食べることができる。「いのぶたほうとう」や「いのぶたラーメン」などもある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/inobuta_nabe_yama_nashi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?いもたき いもたき https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ehime_3_1.jpg 鶏肉 | 里芋 | 生揚げ | しいたけ 日本 愛媛県 38 県内全域 「いもたき」の発祥は、大洲市とされており、鶏肉、里芋、こんにゃく、しいたけなどの具材を煮込んだ鍋料理で、加藤家が藩主として治めていた350年以上前にまでさかのぼる歴史をもつ。お籠りと呼ばれる伝統行事でふるまう鍋に、各自が地元名産の里芋を持ち寄ったことがそもそもの始まりといわれている。昭和41年(1966年)には市の観光事業となり、河川敷で月を肴に里芋を味わうこの事業は、全盛期には年間7万人以上を動員していたという。妙法寺河原では、名物の鵜飼いと重なる時期が1ヵ月間あり、右手に見える臥竜山荘(がりゅうさんそう)のライトアップと共に風景も楽しめる。秋になると河原で鍋を囲む姿が見られる。大洲市のほかにも各地で「いもたき」がおこなわれ、愛媛の中秋の風物詩になっている。 里芋は親芋から子芋、孫芋と増えていくので、子孫繁栄の縁起の良い食べ物として祝いの料理で利用されている。その里芋の「いもたき」は愛媛県内の約10数ヶ所、南予地方を中心とした愛媛県内のさまざまな地域でおこなわれ、秋の河川敷では月見も兼ねた大勢での宴会が催されている。 里芋は皮をむき少しの塩で茹で、生揚げは一口大に切り油抜きをしておく。白玉粉で耳たぶ位の団子をつくり熱湯でゆでる。鶏肉は油で炒め里芋、生揚げを入れてだし汁で煮る。里芋が煮えたら白玉粉の団子を入れ、調味料を加え甘辛く味付けし、温かいうちに汁と一緒に食す。 現在も家庭でよくつくられ、親から子へと継承されている。食物繊維もしっかり摂れるので、学校給食の献立や家庭科の授業でつくる機会もあり、若い世代にも親しまれている。秋の訪れを感じる風物詩となっており地域のイベントで振る舞われることもある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/imotaki_ehime.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?いものこ汁 いものこ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_7_4.jpg さといも | 鶏肉 | 木綿豆腐 | 大根 | にんじん | ごぼう | だし | しょうゆ 日本 秋田県 05 北上川流域 いものこ汁とは、里芋を用いて作られる汁料理で、鍋料理としても食される。岩手や秋田の郷土料理として知られており、また東北地方をはじめとする各地で食されている。秋田県では里芋の親芋につく子芋や孫芋を「いものこ」と呼び、このいものこを主役に、鶏肉、きのこや山菜など秋の味覚をふんだんに入れた鍋を「いものこ汁」という。横手市山内地域で栽培されている里芋は、この地域特有の土壌と気候の下で作られ、柔らかな歯ごたえと独特の粘りが特徴。里芋栽培の歴史は古く、270年ほど前の享保年間に、宮城県仙台地方から種子を取り寄せ、「大芋」と称して栽培したのが始まりと伝えられる。県南地方においては、県北のきりたんぽ鍋と対比される秋の代表的な郷土料理となっている。 きのこが豊富にとれる秋にさまざまな野菜とともに味噌や醤油で味をつけ、収穫のお祝いなどで作られる。横手市鶴ヶ池公園では、毎年いものこ汁を食べながら、よさこい踊りや神輿、伝統芸能など様々なイベントを楽しめる秋の風物詩「いものこまつり」が開催されている。 里芋の皮をむき、丸のまま水で煮る。半煮えの状態で鶏肉を入れ、柔らかくなるまでさらに煮て、きのこと糸こんにゃくを加えて味噌で味をつける。食べる直前にせりを入れる。せりは根っこまで使うと葉とはまた違う食感が楽しめる。平鹿地域では味噌味と醤油味の二通りがある。 県南地区の小学校では、自分たちで材料を持ち寄って作って食べる「なべっこ遠足」という恒例行事がある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/29_7_akita.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?いもの子汁 いもの子汁 さといも | 鶏肉 | 木綿豆腐 | 大根 | にんじん | ごぼう | だし | しょうゆ 日本 岩手県 03 北上川流域 北上川流域はさといもの生産に向いた土壌で、昔からさといもが多く作られている。さといもの歴史は古く、縄文時代に米よりも早く日本に入ってきたと考えられている。古くは万葉集にも記載があり、十五夜や正月に餅ではなく、さといもを供える文化が各地に点在している。「いもの子汁」は秋に旬を迎えるさといもを、にんじん、大根、ごぼう、きのこ、こんにゃく、豆腐、鶏肉等をひと口大の大きさに切ったものを煮込んだ汁物の料理。一杯で多彩な食材が食べられるので、たんぱく質やビタミン類、食物繊維など、幅広く栄養を摂ることができる。昔は稲刈り後など農作業が一段落した時や人が集まる時のごちそうとして、また、身体を温める料理として振る舞われた。現在は、北上川の川岸にグループで集まり、いもの子汁を食すのが秋の風物詩となっており「芋煮会」「いもの子会」と呼ばれる。 秋口から晩秋にかけて、さといもの収穫時期に食される。家庭の食卓にも日常的に並ぶ、人気のメニュー。 人が集まる席やお祭りで作ることもあれば、「いもの子汁」を食すために集まることもある。 地元のさといも、大根、にんじん、ごぼう、木綿豆腐、鶏肉などを煮込み、しょうゆで味をつける。豚肉や味噌を入れる地域もある。岩手にはねっとりやわらかい舌ざわりが特徴の「二子さといも」と、ホクホクした食感の「津志田芋」、特徴の異なる二つの有名なブランドいもがあり、それぞれ人気がある。「二子さといも」の産地である北上市二子地区では、さといもの味をしっかり味わえるようにするために、皮はこそぐようにむき、さといも以外の根菜を入れずに「いもの子汁」を作る。 北上川流域では、グループでいもの子汁を作って食べる「芋煮会」「いもの子会」がよく行われる。北上市二子地区の「二子さといも」は、国の地理的表示保護制度(GI)に登録されている。地域では毎年「二子の里・いものこまつり」が開催される。また奥州市水沢区では「いもの子汁」を食す大規模なイベントも開催され、数千食分が振る舞われる。さといもの旬の時期には地元の飲食店で提供され、給食メニューにも取り入れられる。 岩手県は郷土料理を伝承する人や団体を「岩手県食の匠」として認定しており、「いもの子汁」についても「岩手県食の匠」がいる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/28_13_iwate.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?いわしのだんご汁 いわしのだんご汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/chiba_12_2.jpg イワシ | 大根 | 人参 | 里芋 | 長ねぎ 日本 千葉県 12 北総地域、九十九里地域 九十九里地域は、海の幸、里の幸の宝庫であり、特に古くから知られる好漁場である。九十九里地域を代表する海の幸であるイワシは、江戸時代から漁獲量が多く、「海の米」とも例えられる。九十九里地域の食卓でなじみの魚であるイワシのおいしさと栄養を生かした料理は多種多様である。その中でも11月~3月頃にとれるイワシを使ってつくられる「いわしのだんご汁」は、定番料理である。例年2月~3月に開催される「九十九里浜大漁イワシまつり」では、イワシのごま漬けやイワシの丸干し、イワシのみりん干しなどの加工品が販売されている。また、地元住民によるイワシのさばき方教室が開催されるほか、その場で揚げるイワシのてんぷら即売会などイワシを使った料理が多々味わえるのである。 「いわしのだんご汁」は通年食すことが可能であるが、イワシのすり身を味噌で味付けただんご、大根などの具沢山の汁は体が温まるため、寒い冬によく食べられている。11月~3月頃の冬が旬の背黒イワシを使ってつくられることが多い。 大根・人参はいちょう切りにし、里芋は食べやすい大きさに切る。3枚におろしたイワシを粗く叩き、すり鉢に入れ、摺る。すりおろした長いもと溶き卵、味噌をすり鉢に加え、摺り混ぜる。鍋に水を入れ、大根、人参を加え火にかける。煮立ったら里芋を加える。摺ったイワシをスプーン2本でだんご状に形成し、鍋に落とし、煮る。醤油を加えて味をととのえ、最後に長ねぎを散らし、火を止める。 現在も家庭でつくられ、親から子へと継承されている。学校でも給食としてふるまわれており、若い世代にも親しまれている。また、九十九里町では、毎年1月1日に「元旦祭」が開催されており、「いわしのだんご汁」や丸干しなどが振舞われているなど、イベントを通して食す機会がある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/iwashino_dango_jiru_chiba.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?えびみそ汁 えびみそ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagawa_16_1.jpg シバエビ | 白味噌 | 豆腐 日本 香川県 37 豊中町 瀬戸内海では、数多くのエビが豊富にとれる。エビの中でも10cm前後までしか成長しないものを「小エビ」と呼び、「えびみそ汁」に用いるシバエビも小エビに分類される。三豊市豊中町にある宇賀神社では、五穀豊穣に感謝する秋祭りが毎年開催されてきた。「どぶろく祭り」と呼ばれ、演芸大会などもおこなわれ賑わう。神前に供え神事をおこなったあと、参加者にもどぶろくが振る舞われる。その際に、ごはん、なますなどと共に「えびみそ汁」も郷土料理として出される。宇賀神社では、どぶろくの醸造を許可された約300年前から伝統の製法を受け継いでいる。どぶろくの製造が許可されている神社は全国でも限られており、四国では宇賀神社が唯一である。3月には伊勢神宮にもどぶろくを献納しているほか、使われている古式醸造用具一式は、県指定文化財に指定されている。 秋、豊作に感謝して毎年「どぶろく祭り」がおこなわれてきた。「えびみそ汁」は、どぶろくと共に振る舞われる郷土料理の一つである。 米のとぎ汁をとる。米をざっと洗い一度水を捨て、2回目のとぎ汁を使う。エビは頭と尾を取り除いて塩水で洗う。殻をむかずにボウルに入れ、米のとぎ汁を加えミキサーにかける。残りのとぎ汁は鍋に入れ火にかける。エビを加え、混ぜながら煮立たせたあとに白味噌を入れ、20分ほど弱火で煮る。さらに、さいの目切りした豆腐を加え煮る。このとき、焦げないよう注意しながら混ぜる。器に盛り付け最後にねぎを散らす。 現在も毎年「どぶろく祭り」は開催されており、「えびみそ汁」もそこで食べることができた時もあったが、近年では家庭で作られ受け継がれている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/ebi_miso_shiru_kagawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?おくずかけ おくずかけ https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_1_1.jpg https://www.youtube.com/watch?v=TcLlV6ekXGM 里芋 | 人参 | ごぼう | しいたけの野菜 | 油揚げ | 豆腐 | うーめん(白石温麺) | 糸こんにゃく 日本 宮城県 04 県南地域 県南地域を中心に、春と秋の彼岸やお盆の時期に食べる精進料理。法事で集まった人たちへのおもてなしの側面もある。仏前へのお供え、家庭料理として食べられている。数種類の野菜、豆腐や油揚げ、豆麩をしいたけのもどし汁で煮込み、そこに白石温麺を加えてくず粉でとろみをつけたもの。現代ではくず粉の代わりに片栗粉でとろみをつけることが多い。県南の白石市の名産品でもある白石温麺は、そうめんよりも少し太い麺で、加工時に油を使わないので、消化に良いとされている。具材となる野菜は、その時期に採れるものが主ではあるものの、家庭によっても変わる。いずれにせよ出汁の利いた優しい味わいで、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層に好まれる。県北地域に行くと、「おくずがけ」とよく似た「すっぽこ」「のっぺい汁」と呼ばれるものがある。つくり方はほとんど同じだが、日常的に食すか、特別な時に食すかの違いがあるといわれている。 県南地域では、春と秋の彼岸やお盆の時期に食べる精進料理。県北の「すっぽこ」は、法事で裏方を務めた人へのねぎらいのためにふるまわれ、「のっぺい汁」は日常的に食される郷土料理である。仙南の白石市を中心に、観光客向けに通年食べられる飲食店もある。 一人前ずつ、汁椀や丼に盛り付けて食べる。本来は精進料理なので肉や魚は使用しないが、家庭によっては鶏肉や豚肉を入れることも。また、白石温麺の代わりにうどんを使用する家庭もある。 おくずかけだけの伝承ではないが、宮城県大河原地方振興事務所が、「みやぎの食を伝える会」などの協力を得てさまざまな場所で「おくずかけ」の料理教室を開いたり、おふるまいをおこなっている。石巻市の道の駅「上品の郷」では「ずるびきあんかけ汁」が提供されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/okuzu_kake_miyagi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?おざく おざく 里芋 | 大根 | にんじん | しいたけ | こんにゃく | 油揚げ 日本 静岡県 22 三島市、函南町 おざくは、里芋、大根、にんじんなどの野菜をだし汁と醤油、砂糖で煮た野菜の汁物である。結婚式や葬式、祭りなど人が集まるときに、隣近所がそれぞれの畑で収穫した野菜を持ち寄ってつくった郷土料理。野菜をざくざく切って作るので「おざく」と呼ばれるようになったといわれている。冬になると根菜類は霜や雪で味が良くなり、たっぷりと作って煮返すと味がしみこみおいしくなり、弁当店やコンビニエンスストアがなかったころにはごちそうとされた。地域によってはごぼうや豆腐、鵜肉を入れるところもある。 通年。野菜の栄養を多くとれるので家庭の食卓にも登場するが、学校給食のメニューにも取り入れられている。 里芋・にんじん・ごぼうは乱切り、干し椎茸は水で戻しそぎ切りにする。こんにゃくは、塩でもんでちぎり茹でる。鍋でこんにゃくをから炒りし、油を引いて里芋・にんじん・ごぼうを炒め、干し椎茸も炒めて、だし汁を入れる。煮立ってきたら油揚げを加え、砂糖・醤油で味を付け、煮汁がなくなるまで煮詰める。 学校給食でふるさと給食週間に登場するなど、市町内の飲食店のメニューとして提供されている。また、おざくを洋風にアレンジした料理などもレストランのメニューとして出されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/36_14_shizuoka.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?お嫁さん団子汁 お嫁さん団子汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_22_2.jpg 小麦粉 日本 山口県 35 田布施町 練った小麦粉の生地を入れた汁物は、「すいとん」や「団子汁」として、全国に伝わっている郷土料理。山口県では、県東南部の瀬戸内海に面した熊毛郡田布施町に「お嫁さん団子汁(おごうさんだんごじる)」が伝わる。この地域ではお嫁さんのことを“おごうさん”と呼び、お産をしたお嫁さんに食べさせる料理として作られた。「団子汁によって母乳がたくさん出て、子どもが健康に育ちますように」という願いが込められていたそうで、地域によっては、男の子は繭の形、女の子は丸の形というように、生まれた子どもの性別によって団子の形を変える風習がある。各地の「すいとん」や「団子汁」と異なる点は、煮立てた汁に直接団子を入れるのではなく、あらかじめ団子を作っておくこと。小麦粉をこねて丸めたら茹で、冷水にさらして団子を作ってから、野菜をたくさん加えた汁に合わせる。また、田布施町では白味噌を使い、優しい風味に仕上げている。 出産をした女性の母乳がよく出るように食す料理。 団子の粉に少しずつ水を加え、耳たぶの固さになるまでこねて一口大に丸める。鍋にたっぷりの水を入れて沸騰させ、団子を茹でた後、団子を冷水にさらしておく。サトイモは、皮をむいてから塩水につけてぬめりをとり、乱切りにする。ニンジン、ダイコン、ゴボウ、水で戻した干しシイタケも乱切りにする。鍋にいりこだしと野菜を加え、火が通るまで煮る。煮えたら冷水にさらしておいた団子を入れ、ひと煮立ちしたら味噌を溶き入れる。最後に茹でたキヌサヤを散らす。風味を逃さないように、味噌を加えた後は煮立たせないことがポイント。また、サトイモのぬめり取りはさっと茹でて行っても良い。 家庭料理として食べられるほか、飲食店や学校給食のメニューとして提供される。また、地元の人から子どもたちへ郷土料理を伝えるイベントで、調理体験を実施している。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/43_22_yamaguchi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?お雑煮 お雑煮 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_7_2.jpg 餅 | 鶏肉 | しいたけ | かまぼこ | 青菜 | みつば | ゆず | 昆布 | かつお節 日本 東京都 13 都内全域 お雑煮とは焼いた餅に火を通した鶏肉や青菜などを添え、すまし汁をかけた正月料理。室町時代、京都では丸餅に味噌仕立ての雑煮を公家はおもてなし料理として、上級武家は慶事料理として、正月以外にも食していた料理である。雑煮が身分に関係なく正月の祝い事に食べられるようになったのは江戸時代からと伝えられ、参勤交代などの文化の交流の中で雑煮は全国各地へと広がりをみせる。当初は江戸も味噌仕立ての雑煮を食していたが、元禄年間になると下総の野田と銚子で醤油の生産がさかんになり、江戸っ子好みの濃口醤油の雑煮が確立されるようになる。このようにして、江戸雑煮は現在の醤油を用いたすまし汁になった。また、雑煮は餅が入るのが特徴であるが、西日本は基本丸餅であり、東日本は角餅を用いる。角餅の由来は「のして切る」ことが「敵を制圧して切る」と連想した武士のゆえんであるなど諸説あるが、平たく伸ばした餅を切り分ける方法が生み出され、利便性が高いことから、東日本では角餅が定着したと考えられる。元旦に一年最初の水(若水)を汲み、浄められた火を用いてひとつの鍋で汁を作るという一連の作業が、人間に活力を与える食べ物として正月に食され続けてきた雑煮。江戸雑煮は香ばしく焼いた餅に昆布とかつお節でとったすまし汁をかけるのが特徴。小松菜がほうれん草であったり、かまぼこがなるとであったりと地域で具材は少し異なる。 正月料理に欠かせない主役料理。 材料を食べやすい大きさに切りそれぞれゆで、餅をオーブントースターなどで焼いておく。器に餅、ゆでた具材とかまぼこを盛り付け、すまし汁を注ぐ。ゆずの皮とみつばを添えて食す。 正月には各家庭でそれぞれの雑煮が作られている。毎年、料理雑誌の12月では、お雑煮レシピを掲載している。また、都内では雑煮を提供している店も多数存在する。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/34_7_tokyo.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?かに巻き汁 かに巻き汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_28_1.jpg 山太郎ガニ | 味噌 日本 宮崎県 45 北郷町、日南市北郷・酒谷地域 「かに巻き汁」は宮崎県南部の北郷町(きたごうちょう)に伝わる郷土料理で、北郷町を流れる酒谷川(さかたにがわ)や広渡川(ひろとがわ)で秋から冬にかけてとれる「山太郎ガニ」(北郷町での呼称で正式名はモクズガニ。上海ガニの仲間)を使う。「山太郎ガニ」は海で生まれ、川を上って成長した後、海で産卵するために川を下るため、そこを狙って漁をおこなう。この地域では山太郎ガニは貴重なたんぱく源であり、「かに巻き汁」は味噌がカニの旨味を包み込むことから、その名前がついたといわれる。その独特の味わいは、秋になるとこの地域で待ちわびる一品である。 旬である9月から10月頃にかけて食べられている。(近年は商品化もされ、この時期に一年分を仕入れ、仕込む) 北郷町に秋を告げる味噌仕立ての汁物である。生きた「山太郎ガニ」をよく洗った後、甲羅を外し、臼と杵、あるいはミキサーにかけて、細かく砕きつぶす。そこに、水と味噌を加えてさらに混ぜ、ざるで、きれいに濾して鍋に入れる。弱火でゆっくり熱を加えていくと、カニに含まれるタンパク質や味噌の成分などが反応し、おぼろ豆腐のように固まっていく。それを器に入れ、おろししょうがやねぎを加える。澄んだ味噌仕立ての汁に浮かぶ、ふわふわとした食感のなかに、カニの旨味が凝縮されている。ゆでて食べても美味しいカニを、少しも無駄にせず丸ごとすりつぶすことで、濃厚な旨味が生まれる。 家庭で簡単につくることができ、そうめんやうどんを入れて食べても美味しい。 スーパーマーケットでは真空冷凍状態で一年を通して販売しており、飲食店でも食べられる。北郷・酒谷地域では、現在も家庭でつくられている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kanimaki_jiru_miyazaki.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?かぶ雑煮 かぶ雑煮 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_26_1.jpg 餅 | かぶ 日本 山口県 35 県内全域 お正月料理として欠かせないお雑煮は、地域色が強く、また各家庭により材料や作り方も異なるもの。例えば、富山県、岐阜県、愛知県を境に東日本は角餅を焼いて使うことが多く、西日本は丸餅を煮ることが多い傾向にある。また、東日本ではすまし汁仕立てが多いが、京都府や奈良県、香川県などは白味噌で味付け。沖縄県ではお雑煮を食べる習慣はない、などさまざま。山口県内でも地域や家庭によって違いがあるものの、基本的には丸餅を醤油のすまし汁仕立てにするお雑煮がポピュラーだ。萩市などを中心に県内全域で食される「かぶ雑煮」は、丸餅とカブ、三ツ葉を具材にしたシンプルな郷土料理。焼かずに餅を入れるため、すまし汁に少しとろみがつくのが特徴だ。細く切ったするめを軽く結んで入れると、香りと見た目が良くなる。最近ではその習慣は減ったものの、萩地域では餅つきは男性の役目であった。年末は、家庭の男性がもち米を蒸し、臼と杵で餅つきを行い、女性が大掃除やお正月料理を用意する。そのお餅は神仏に供えられ、またお雑煮としてお正月の食卓を彩った。 お正月料理として食されている。 水に煮干しを入れて弱火で10分煮て、出汁をとっておく。かぶは大きめのいちょう切りにし、昆布、するめは千切りにしておく。かぶとするめを煮干しの出汁に加え、材料がやわらかくなるまで煮てから、醤油で味をととのえる。丸餅を加え、やわらかくなるまで煮る。この時、出汁を煮立たせると餅が溶けるので注意する。椀に盛り、三ツ葉をあしらう。阿武町ではかぶの葉も入れることがある。 一般的に家庭で食されている。また、学校給食でも県内のお正月料理を伝える献立として提供されることがある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/43_26_yamaguchi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?かぼちゃのだんご汁 かぼちゃのだんご汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_11_1.jpg 小麦粉だんご | かぼちゃ | しいたけ | 煮干し 日本 福岡県 40 豊前市 県の北東部の豊前市三毛門地区は、1個が4kg近くになる大きな日本かぼちゃ、三毛門かぼちゃの産地で、「かぼちゃのだんご汁」がつくられてきた。三毛門かぼちゃは、約450年前にポルトガルから伝わった日本最古といわれるかぼちゃで、昭和3年(1928年)には昭和天皇に献上した歴史があり、平成30年(2018年)7月には豊前市の天然記念物に指定された。トロトロになるまで煮た三毛門かぼちゃに、練った小麦粉を加えただんご汁は、かぼちゃの甘さがひき立ち、食べ物が乏しかった戦前戦後は特に重宝され、当時を知る人々にとっては命をつないだ懐かしい味だという。しかし、昭和40年代になると西洋かぼちゃの人気に押されて三毛門かぼちゃの生産者が減少している。 旬のかぼちゃは夏には汗をかきながら「かぼちゃのだんご汁」を食べる。三毛門では寒い冬までかぼちゃを保存しておくと味もよくなり、子どもからお年寄りまで親しまれている。 水と煮干しを入れ、味が出た頃煮干しをとりだし、一口大のかぼちゃやしいたけを入れて煮る。小麦粉だんごを、指で引きのばして、平たくして汁にちぎりこむ。汁にとろ味がつきかぼちゃの甘味とあって素朴な味。北九州市では、三毛門特産かぼちゃが特に喜ばれる。 各家庭でつくられており、学校給食のメニューにもなっている。特に三毛門かぼちゃは、平成19年(2007年)に貴重な伝統文化を後世に残したいと発足された保存会でかぼちゃの栽培指導や加工品の製造販売をしている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kabocya_no_dango_jiru_fukuoka.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?がわ がわ https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shizuoka_2_1.jpg カツオ | たまねぎ | きゅうり | 青しそ | しょうが | 梅干し | 味噌 日本 静岡県 22 御前崎市 全国屈指のカツオの漁獲量を誇る静岡県(※)。中でも静岡県最南端に位置する御前崎港は県内でも有数の漁獲高を誇る港である。5月に水揚げされるカツオは「初鰹」と呼ばれ特に人気があり、御前崎港周辺で端午の節句に合わせて掲げられる「カツオのぼり」は、夏の風物詩になっている。「がわ」は、生のカツオ、きゅうり、梅干し、青しそなどを刻んで、味噌と共に水に入れる「冷やし味噌汁」で、漁師がカツオ漁に出た際に船上で作ったのが始まりとされる。氷を入れ、味噌を溶かそうとかき混ぜるときに「ガワガワ」と音がするため、「がわ」と呼ばれるようになったといわれる。元は漁師めしだが、御前崎の一般家庭でも夏の食卓に登場することもある。 ※出典:静岡県公式ホームページ 主に夏 きゅうり、たまねぎ、しょうが、青しそ、葉ねぎを刻み、カツオは細かくたたき、さらに味噌と種を出した梅干しを入れ、馴染ませる程度に、一緒にたたく。そこに氷水と入れのばし、刻んだ野菜を入れて、かき混ぜてできあがり。白いご飯にかけたり、素麺にかけたりしても相性がいい。 一般家庭で作られるほか、港にある一部の飲食店で提供されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/36_2_shizuoka.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?がんちゃ汁 がんちゃ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tottori_20_1.jpg 川ガニ | なす 日本 鳥取県 31 県内全域 「がんちゃ汁」は鳥取県のきれいな川でとれる川ガニを使用する。鳥取県ではモクズガニの事を「川ガニ」と呼んでおり、モクズガニは海で生まれて、川で育ち、また、海に帰って産卵をする。古くから川ガニやエガニ、ツガニなど色々な名がつけられ、非常に身近で親しまれてきたカニである。オスの方が大きいのが特徴で甲幅80mm前後になる。ハサミ脚、歩脚に細かい毛が生えており、これが「藻くず」に見えるためこの名が付けられている。今はミキサー等で調理するが、昔は生きたままの川ガニを石臼にいれ、杵で搗いて粉々になるまでつぶしていた。これをこして水と加熱すると身が凝固し、ふわふわなものが汁に浮かんでくる。このふわふわしたものにカニの旨味が凝縮されており、汁自体にも旨味が広がる。「がんちゃ汁」はモクズガニの美味しさを余すことなく味わえる料理である。 川ガニが獲れる秋から冬にかけて食べられる。特にメスの内子(うちこ/カニの卵巣のこと)は珍味として知られており、夏の終わりから秋にかけて内子を持ち始める時期になると、メスは近縁種のチュウゴクモクズガニ(上海ガニ)に負けないくらい高値で取引されるようになる。身は少ないのが特徴である。 カニは甲羅を外し、ミキサーに分量の水とカニを入れ、ドロドロになるまで砕く。ざるでこし、なすと水と一緒に鍋に入れ、火にかける。沸騰したら、醤油、酒を入れ、小口切りにしたねぎを入れて火を止める。味付けは味噌だけでも美味しい。豆腐のつぶしたものを入れても良い。カニ味噌は、非常に濃厚で美味しく、味噌汁などに入れても、非常に良い出汁が出る。ただし、肺吸虫という寄生虫がいるため、必ず加熱調理して食べる。 夏から秋になると地元の魚屋やスーパーマーケットの店頭でもよく見かける。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/gancha_jiru_tottori.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?がん汁 がん汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_16_1.jpg 川カニ(ツガニ) 日本 大分県 44 宇佐市域 国東半島(くにさきはんとう)の付け根に位置する宇佐市。北は周防灘(すおうなだ)に面し、南は立石山・人見岳などの標高1000m弱の山岳を望む。全国4万余社の八幡社の総本宮・宇佐神宮は、毎年多くの参拝者が訪れるパワースポットとして知られている。市内を流れる駅館川(やっかんがわ)は、ツガニ漁が有名。ツガニとは、河川に生息する大型のカニ「モクズガニ」の呼び名で、藻屑のようにびっしりと毛の生えたハサミが特徴である。この地域で食べられている「がん汁」とは、ツガニをすりつぶして醤油風味に仕立てた汁物。そのままでは食べづらいツガニを味わうために考案されたといわれる。昭和中期までは一般家庭でもよくつくられていたが、つがに自体の生息数が減っていること、つくるのに手間がかかることから、一部の地域を除いて、家庭でつくられることは減っている。名称については諸説あるが、カニ汁が訛って「ガニ汁」と呼ばれ、徐々に「がん汁」へと言い方が変化していったといわれている。 8月中旬の川カニ漁解禁の後、家庭でつくられる。産卵期を迎えた秋から冬にかけて身体に栄養が蓄えられるため、美味とされている。ひと昔前は、季節のごちそうとして、近隣に振る舞っていた。 生きたツガニを殻ごとすりつぶし、殻をこしとった後、塩を入れ残りを煮立てる。すると、たんぱく質がふわふわとしたかたまりになって浮かび上がってくると同時に汁が澄んでくる。鍋を火にかけ、汁が濁りはじめた所に高菜を切って入れるとカニのたんぱく質が高菜に集まるため(“とまる”という)、高菜を入れる家庭が多い。最後に、塩もしくは醤油を入れて調味するだけのシンプルな食べ方であるが、その分、カニの旨味を存分に味わえる。ツガニ独特の香りが気になるようなら、しょうがを加えても良い。昔は石臼でツガニをすりつぶしていたが、現在はミキサーやフードプロセッサーを使うのが一般的。こちらのほうが細かく粉砕できるのでこしやすい。 地元の人でも若い世代は知らない人が多くなってきていることから、地域の企業が商品化し、味の継承を目指している。また宇佐市も「伝えようふるさとの味プロジェクト」の中で、「がん汁」などの郷土料理の情報発信をおこなっている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/ganjiru_oita.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?きゃのっこ汁/けの汁 きゃのっこ汁 けの汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/akita_25_2.jpg 大根 | にんじん | さつまいも | 山芋 日本 秋田県 05 県央から県北地域、一部県南地域 「きゃのっこ汁」は細かく刻んだ野菜や山菜、金時豆などを出汁と味噌で味つけた汁料理。秋田県や青森県などの東北地域において、年末年始のさまざまな行事を終え、ようやくほっとする1月15日からの小正月に、無病息災を願い食されてきた行事食。昔は、正月に何回も台所に立たなくてもいいようにきゃのっこ汁を大鍋で作り、温め直して何日もかけて食べていた栄養満点の郷土食である。きゃのっこ汁は、青森県津軽地方の郷土料理「粥の汁(けの汁)」を秋田北部でも食すようになったとも伝えられ、鹿角市では「けの汁」や「きゃの汁」、男鹿市では「けの汁」や「けのこ」と呼ばれている。ちなみに北部沿岸の三種町、中央部八郎潟町では「きゃのこ」。青豆粉をベースに作った焼きずんだを入れるのは、秋田県ならではの特徴。 小正月(旧正月) 具材はすべてけんちん汁よりも細かく刻み、大鍋に出汁と具材を入れて煮込んで、味噌で味を調える。最後に焼きずんだを入れていただく。各家庭によって、入れる具材や味付けに多少の違いはあるが、基本的には大鍋で作り、食べる分を取り分けて温め直して数日間かけて食する。日が経つほどに具材に味がしみて、食べるごとに味わい深くなっていく。また、たくさんの具材を大量にサイコロ切りするのは結構な手間のため、現在では水煮や缶詰にされた具材がスーパーで常時販売されている。 伝統ある朝市で有名な五城目町では、きゃのっこ汁を含む郷土料理を食育の一貫として推進している。また、小正月の時期になると手作りしている家庭もみられる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/29_25_akita.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?きゅうりの冷や汁 きゅうりの冷や汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/mie_20_1.jpg きゅうり | 味噌 | 白ごま | 煮だし汁 日本 三重県 24 伊賀食文化圏 伊賀地域では夏場は盆地特有の蒸し暑さが増して食欲がなくなるので、暑い夏を乗り切る知恵として、冷たい味噌汁をつくり盛んに食べられてきた。全国各地にも地域独自の冷や汁が存在しているが、宮崎県の冷や汁の由緒について、鎌倉時代の「鎌倉管領家記録」に「武家にては飯に汁かけ参らせ候、僧侶にては冷汁をかけ参らせ候」との記載があるように、僧侶によって全国に広められ、その影響で宮崎県に広まったと言われている。しかし三重県では原則ごはんにかけるものではなく、冷たい汁物として広くつくられている。簡単な調理法なので家庭によって少しずつ味が異なる。 食欲が落ちやすい夏場に冷たい味噌汁を夏バテ対策として食べられるようになった。さらにご飯にかけることで食欲が増し、食べやすくなる効果もあり、こういう食べ方をする人もある。 煎ったごまをすり鉢に入れよくすり、味噌を入れさらにすりこむ。輪切りにしたきゅうりを加え、混ぜ合わせる。きゅうりが幾分かしんなりしたら、最後に冷やした煮だし汁を入れる。刻みねぎを散らしてもよい。 名張市で広がるアイデア満載の防災活動として、備蓄品の缶詰や乾物で簡単にできる缶乾レシピとして「冷や汁」が紹介されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kyuuri_no_hiyajiru_mie.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?クーリジシ クーリジシ https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okinawa_22_1.jpg 豚の三枚肉 日本 沖縄県 47 那覇、首里 「クーリジシ」は、豚の三枚肉やシブイ(トウガン)、グンボウ(ゴボウ)などを具材にした卵とじの汁物。だしは、豚だしのほかにかつおやシイタケを使い、深みがありながらも優しい味に仕上げる。また、口の中でとろけるシブイやふわふわの卵も優しい。名前の由来は、“クーリ”は氷、“ジシ”はシシ(肉)を意味する。おわんの中で広がった卵が雪のように見えることから名付けられとされている。伝統的な郷土料理がいまだ多く残る沖縄県にも、近年作られる機会が減っているものもある。そのひとつが、昔はお盆に作られる定番料理だった。ちなみにクーリと名前に付く料理は珍しく、このほかには青汁入りのかまぼこと白いかまぼことを交互に重ねた「クーリハンビン」というかまぼこも、かつては作られていた。 現在はほとんど作られることがなくなったが、卵が貴重だった戦前は、祖先の霊をお迎えする気持ちを表す盆料理として作られていた。 豚の三枚肉は丸ごとゆでて、細めの短冊切りにする。トウガンとゴボウは皮をむき、水にさらしてアク抜きをする。各材料を豚の三枚肉に合わせて短冊切りにする。鍋に豚だし、かつおだしを煮立て、すべての材料を入れて、火が通ったら塩と醤油でお吸い物の味に調える。溶き卵に塩を少々加え、汁の上面にかぶせるようにそそぎ卵とじにする。シブイは、ワタに近い部分はやわらかく崩れやすいので、皮に近い硬い部分を使うとよい。 学校給食で提供される。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/47_22_okinawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?くじら汁 くじら汁 塩クジラ | なす | 人参 | ゆうがお | ねぎ | じゃがいも | 豆腐 | 味噌 日本 新潟県 15 中越地方、下越地方 「くじら汁」は、塩漬けにしたクジラの皮の脂身を野菜と一緒に味噌で煮た郷土料理。新潟は北前船の影響で他所のさまざまな文化が根付いており、「くじら汁」もそのひとつである。その昔、西日本で獲れたクジラが塩漬けにされて、北前船で新潟に運ばれていた。クジラの脂肪は、健康に良いとされる不飽和脂肪酸を多く含み、新潟では、特に真夏の暑い時期にスタミナ食として食べていた。こってりとした味わいが魅力で、野菜はなすを入れるのが必須。地元で採れる丸なすを使い、長岡市近辺ではかんぴょうの材料になるゆうがおも欠かせない材料のひとつ。味噌仕立てで食べるのが主流だが、醤油仕立てで食べたりもする。保存ができる塩漬けのクジラを使うため、海がない山間地でも食べられていた。 使用する材料は塩クジラのほか、新潟市周辺では「なす」、中越地方では「ゆうがお」が多く使われ、夏に食す人が多い。一方、下越地方の阿賀町では、山菜の「うるい」を使い、春に食す人が多いようである。 塩クジラは、塩出ししてから調理する。出汁をとり野菜を煮て、やわらかくなったら塩出ししたクジラを入れる。味噌を加えて味をととのえる。クジラに塩気があるので、味噌は加減しながら加えると良い。好みで七味を入れていただく。 以前に比べて家庭でつくることは減ったが、今も食べられている。日本の食生活を知る意味を込めて、学校給食のメニューに取り入れられる。料理店や居酒屋などで提供され、新潟市内にはクジラ料理専門店があり、「くじら汁」をはじめ様々なクジラ料理が楽しめる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kujira_jiru_niigata.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?ぐべ汁 ぐべ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamaguchi_21_1.jpg ぐべ 日本 山口県 35 萩市 山口県の萩港から北へ約45km離れた場所に位置する見島は、人口が1000人にも満たない小さな島。本土から離れてポツンと浮かぶこの島は、渡り鳥の中継地点になっており、バードウオッチングの聖地としても有名だ。かつては大陸との交易の要衝であり、防人が置かれた島として独自の文化が残っている。また、対馬暖流の影響によって多彩な魚介類が水揚げされ、海の幸を用いた郷土料理も魅力だ。そのひとつが「ぐべ汁」で、濃厚な磯の風味が堪能できる貝を使った味噌汁。「ぐべ」とは、沿岸部の磯や港の防波堤に付着している直径2~3cmほどのカサガイの仲間のことで、貝殻の形が傘に似ていることから「嫁の皿(ヨメガカサ)」と呼ばれることもある。また、大井・越ヶ浜・須佐では「べべ」と呼ばれることから、「べべ汁」として親しまれている。見島では、漁師の家庭ではもちろんのこと、沿岸部に近い農村でも昔から食される郷土料理だ。本来はぐべを出汁と具として調理した味噌仕立ての汁物だが、ぐべが貴重品になっている昨今ではカメノテやニイナなどの別の貝を加えて作ることもある。 家庭料理として食される料理で、見島の宿の朝食では必ず大きな椀に山盛りに入った「ぐべ汁」が提供される。 ぐべは水でよく洗う。水を沸騰させて、その中にぐべを入れ、少し煮立たせる。白味噌などの味噌を入れて味を整え、塩気が足りなければ少し塩を入れても良い。最後にワカメを入れて器に盛りつける。ワカメを入れずに、ぐべのみで作ることも多い。また、カメノテやニイナと呼ばれる小型の巻貝を混ぜて作ることもある。 家庭料理で食されているほか、萩市内の宿や飲食店で提供されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/43_21_yamaguchi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?くるみ雑煮 くるみ雑煮 にんじん | 大根 | ごぼう | しいたけ | 焼き豆腐 | しょうゆ | もち | くるみ | 砂糖 日本 岩手県 03 三陸沿岸北部地域 「くるみ雑煮」は「くるみ餅」とも言われ、三陸沿岸の宮古地方で元日の朝に食べられる代表的な料理である。正月だけでなく、結婚式のお祝いや不祝儀の膳、特別なおもてなしの際の最高のごちそうとしてふるまわれる。大根、にんじん、ごぼう、鮭、凍り豆腐などを入れたしょうゆ味のだし汁にもちを焼いたものを入れ、もちを食べる時はそのまま汁わんから食べたり、別の器に入れた「くるみだれ」をからめて食べたりして、2種類の味を楽しむのが特徴。沿岸部では冷害により米が育ちにくかったため、貴重なもちを大切に味わおうとして生まれた食べ方と考えられる。家庭により、具にいくらやあわびなど海産物を入れることもある。くるみは地元でとれる鬼ぐるみを使用。鬼ぐるみは海外産のくるみに比べ、タンニンや油分が少なく、あっさりとしているのが特徴で、この鬼ぐるみを丁寧にすってねっとりするまでのばし「くるみだれ」を作る。岩手県ではくるみは食生活に深く根付いており、「おいしい味」のことを「くるみあじ(くるびあじ)」と表現することもある。 正月をはじめ、結婚式のお祝いや不祝儀、特別なおもてなしの際のごちそうとしてふるまわれた。現在はお正月の雑煮として食されるが、その他の機会は減っている。 大根、にんじん、ごぼう、しいたけ、こんにゃく、ちくわを千切りにし、焼き豆腐とともにしょうゆで味付けしただしで煮る。焼いた角もちをそこに入れる。くるみをすって砂糖と塩を混ぜたくるみだれを別皿に用意し、もちを付けて食べる。家庭により、いくらやあわびなどの海産物を入れることもある。 現在でも、お正月が近くなると殻をむいたくるみがスーパー等でも販売される。それをすり鉢で丁寧にすったくるみだれで、元旦には各家庭で雑煮が作られる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/28_29_iwate.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?けいらん けいらん もち米粉 | こしあん 日本 青森県 02 下北地方 秋が深まり稲刈りが終わり、農作業が一段落する11月には「秋仕舞い」の風習がある。隣近所や親戚らを招いて、米づくりが無事に終わったことを祝い、一年の農作業を労ってごちそうを振る舞う。「けいらん」は、秋仕舞いのごちそうの中でも人気のある料理である。椀の蓋を開けると白い卵形の団子が二つ浮かんでいる薄味のすまし汁で、団子が鶏の卵のように見えることから「けいらん」の名がついた。秋仕舞いの夜の酒盛りの際には一回り大きくつくった「けいらん」を茶碗一杯に盛り、にぎやかに食べるならわしもある。元は京都の料理で上方文化の伝承とともに旧南部藩に伝来したといわれ、現在では青森県下北地方、岩手県、秋田県の一部に伝わり、地域によってつくり方や味が異なる。 もともとは秋仕舞いのごちそうとして振る舞われていたが、最近では冠婚葬祭に欠かせない料理として親しまれている。通常は白い団子だが、慶事には紅白に色付けしたもの、弔事にはうずらの卵ほどの小振りで青や緑に色付けしたものが振る舞われる。あんこの甘さと醤油味のだし汁の旨味が調和した上品で優雅な味わいが万人に喜ばれる。 もち米粉を熱湯で湿らせてから水を加え、耳たぶくらいの硬さにこねるが、この湯加減で良し悪しが決まるといわれる。こねた餅であんこをくるみ、卵型に丸めてたっぷりの湯でかたちを壊さないようにゆでる。ゆでずに蒸す場合もある。熱いうちに手で水をかけ、かたちをととのえながら卵のような艶を出す。椀に2個ずつ盛り、しいたけや昆布で出汁をとった汁を注いで三つ葉などを飾り食べる。 家庭ごとの伝承のほか、冠婚葬祭のお膳には欠かせない料理として現在も身近な存在である。道の駅や観光施設等でも提供され、観光客への周知の取り組みも進んでいる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/keiran_aomori.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?けの汁 けの汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_39_1.jpg 大根 | 人参 | ごぼう | わらび | ふき | 油揚げ | 凍み豆腐 | 大豆 | 昆布 | 味噌 日本 青森県 02 津軽地方 津軽地方の代表的な郷土料理。由来については津軽の方言で「粥(かゆ)」を「け」と呼ぶことから「かゆの汁」とされるなど、諸説ある。 米が貴重だった時代に刻んだ具材を米に見立てて食べたという。約400年前の津軽藩祖・為信の時代から受け継がれたとの説もある。もともとは小正月の料理で、正月に家族の世話や来客対応に追われた嫁が小正月に里帰りする際、男衆のためにつくりおきしたもの。栄養豊富な保存食として、凍りついた汁を崩し温めなおして何日も食べたという。 小正月に一年の無病息災を願っていただく精進料理で「津軽の七草がゆ」とも呼ばれる。家庭の女性が小正月にくつろぐためにつくりおきする保存食でもある。旧暦の正月16日の朝、仏前に供えて拝んだ後、家族そろって食べる。大鍋に大量につくり、4日も5日も温めなおして食べる習慣がある。家庭ごとに食材やつくり方が異なる「おふくろの味」で、地元では女性が集まれば「けの汁談義」がはじまるほどである。 大量の根菜や山菜、きのこを細かいさいの目に刻むところから、調理がはじまる。昔は木桶や馬の飼料桶などに山盛りに刻んだ。大鍋にイワシの焼き干しと焼き昆布を入れ、材料と水を加えて煮上げる。大豆をすりつぶした「ずんだ」が入るのも特徴的だ。保存がきいて温めなおすほど具材のエキスがしみこんで味わい深くなるので、大鍋から小鍋に分けて温め数日かけて食べるのがならわしである。 近年は具材を5mmの角に刻む作業が敬遠され家庭で調理する機会が減少しているが、あらかじめ刻んだけの汁用具材のパックがスーパーマーケットなどで販売されるようになり郷土食の復権に一役買っている。また地元への普及・啓発を目指し弘前商工会議所料飲観光部会が平成15年(2003年)に「津軽けの汁保存会」を発足させ活動している。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kenojiru_aomori.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?げんげの味噌汁 げんげの味噌汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/toyama_27_1.jpg ゲンゲ | ねぎ 日本 富山県 16 富山市、射水市、魚津市 体長は約20センチで細長く、白く透明感のある全身が分厚いゼラチン質で覆われている深海魚ゲンゲを使った味噌汁は、漁村の家庭でのみ食べられていた料理。富山を代表する魚といえば、ホタルイカ、シロエビ、ブリ、カニなどが有名だが、近年このゲンゲに注目が集まっている。水深に生息する甘エビをとる時に混じってしまうやっかいもの扱いで、またグロテスクな見た目から30年ほど前までは「下の下の魚」とまでいわれる存在であった。それがここ数年で、コラーゲンの豊富さや身のおいしさが見出され徐々に人気が出始めている。水分を多く含んでいることから劣化が早く、すぐに生臭くなることもあり、漁村でしか消費されてこなかったが、鮮度の保持技術が向上したことで、県内の広い範囲への流通が可能に。これまで限られた地域で食べられていたゲンゲのうま味が詰まった味噌汁はもちろん、さまざまな調理法で食されるようになっている。ゲンゲだけの専門の漁がないため、めったに出会うことができない幻の魚として今では「幻魚(ゲンゲ)」と記されるようにもなった。 9月~翌年5月にかけてとれるため、味噌汁もこの時期に作られるのが一般的。近年は港町だけではなく県内の広い地域で食されるようになっている。ゲンゲは良いだしが出ることから汁物にとても適している。石川では「ゲンゲンボウ」、福井では「ミズベコ」と呼び、両県でも親しまれている。 ゲンゲは頭と内臓を取り除き、水洗いしてぶつ切りにする。鍋に水を入れ沸騰させたら和風だしの素を加え、ゲンゲも入れる。ゲンゲに火が通ったら火を止めて味噌を溶かし入れる。刻んだねぎを入れ、さっともう一度温めたら完成。ゲンゲのうま味が詰まった汁は格別な味わい。 元々食べられていた港町では、家ごとに味が受け継がれている。汁物以外にも、柔らかな身を生かした唐揚げ、天ぷら、一夜干しなどにして提供する飲食店も増えている。また、ゲンゲに含まれるコラーゲンなどの栄養成分を濃縮させてサプリメントも作られるなど、ゲンゲ自体の価値が高められている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/37_27_toyama.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?けんちゃん けんちゃん https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_17_1.jpg 豆腐 | 干ししいたけ | 大根 | 里芋 | 人参 | ごぼうの根菜類 日本 大分県 44 国東市 瀬戸内海に突き出た国東半島(くにさきはんとう)の東部を占め、周防灘(すおうなだ)・伊予灘に面した国東市。東半島の中央部に位置する両子山(ふたごやま)、文珠山(もんじゅやま)などを中心とする放射谷からなり、山間をぬって静かな小河川が流れる。両子山の山麓には神仏習合文化・六郷満山の寺院が点在している。農業も営まれており、みかんやしいたけ、いちご、メロンなどが特産品になっている。「けんちゃん」は国東市で食べられている郷土料理。大根や里芋、人参といった根菜をふんだんに使った汁物で、地域によっては「けんちん汁」の名で呼ばれている。発祥については、神奈川県鎌倉市にある禅宗の寺院・建長寺(けんちょうじ)にあるとされる。建長寺の和尚が野菜くずや皮を無駄にしないようにと汁物にして食べ、それがやがて「建長汁」として各地へ伝わり、「けんちゃん」や「けんちん汁」といった地域ごとの呼び名で呼ばれるようになったといわれている。国東市には、根菜以外にうどんを入れて食べるレシピが伝わっている。また、地域によっては、焼いたエソ(エソ科の魚)から出汁をとることもある。 根菜類が多くとれる冬によく食べられる。米を口にする機会の少ない時代でも、具だくさんの「けんちゃん」を食べればおなかがふくれた。大家族なら大鍋にたくさん仕込んで、煮返しをして食べたという。身体を芯から温める、冬には欠かせない料理である。 必ず使うのは、豆腐、大根と里芋。そのほか、油揚げ、こんにゃく、ごぼう、人参などあるものを入れる。具材は大きめに切るのが特徴。汁気を少なめにつくられることが多く、煮物に近い食べ方もできる。汁を多めにしてつくると「けんちゃん汁」になり、また違った味わいが楽しめる。 大分市では、郷土の味を次代に継承しようと、「けんちゃん」のレシピをインターネットで発信している。ほか、大分県の郷土料理をおしゃれにアレンジする料理教室も開催されており、教室で紹介される料理の一品に「けんちゃん」が選ばれた。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kenchan_oita.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?けんちん汁(岩手県) けんちん汁 にんじん | 大根 | ごぼう | こんにゃく | きのこ | 山菜 | 豆腐 | ねぎ | 醤油 日本 岩手県 03 県北地域 「けんちん汁」は、小さく切ったにんじん、大根、ごぼうなどの野菜と豆腐を油で炒め、醤油で味付けした汁物。「けんちん汁」はもともと発祥とされる神奈川県をはじめ、岩手県、大分県、茨城県などいくつかの県で郷土料理として食されているが、具材はそれぞれ異なる。岩手県では肉は入れず、豆腐を油でよく炒めてそぼろ状にするのが特徴。そのため、「けんちん汁」に入れる豆腐は、硬めの手作り豆腐を使う家庭が多かった。現在はいつでも食べられる料理であるが、昔は庭仕舞い(秋仕舞い)や、お正月に食されることが多く、特に1月の小正月(女正月)の期間中には、女性を休ませられるように大量に作り、それを温めなおして食べたと言われる。一晩置いて温めなおすと味がしみてまたおいしい。気仙地方では地元でとれた椿油をふんだんに使い、香りよく仕上げる特徴がある。 庭仕舞い(秋仕舞い)や、お正月によく食された。特に1月の小正月(女正月)の期間中には、女性を休ませられるように大量に作り、温めなおしながら食べた。 にんじん、大根、ごぼう、こんにゃく、きのこ、山菜などを小さく切ったものと豆腐を炒める。だし汁で煮てしょうゆで味をつけ、ねぎを散らす。炒めてから煮るのがポイント。豆腐は硬めの豆腐を使うとよい。温めなおすと味がしみておいしい。焼きもちを中に入れて具だくさんなお雑煮にして食べることもある。山菜は、冬は長期保存してあるものを使う。わらびを戻すときは銅鍋を使うと色がきれいに出る。 現在ではいつでも食べられる家庭料理であり、給食のメニューとしても定着している。岩手県は郷土料理を伝承する人や団体を「岩手県食の匠」として認定しており、「けんちん汁」についても「岩手県食の匠」がいる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/28_24_iwate.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?けんちん汁(神奈川県) けんちん汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kanagawa_1_2.jpg こんにゃく | ごぼう | れんこん | にんじん | 大根 | さといも | 豆腐 | 干ししいたけ | 小松菜 日本 神奈川県 14 鎌倉、全国 大根やにんじんなどの野菜を油で炒めてから煮込む料理。その発祥には諸説あり、中国の精進料理である普茶(ふちゃ)料理の一種である巻繊(けんちゃん)が日本語になったという説と、鎌倉の建長寺で作られる「建長汁」がいつしか「けんちん汁」と呼ばれるようになったという説がある。けんちん汁は現在では日本各地で食されているが、建長寺では700年以上も前から食されており、一説によると、建長寺で修業した僧侶が各地に派遣されるとともに全国に広まっていったのだという。建長寺のけんちん汁は精進料理であるため、動物性の食品は使わず、だしも昆布やしいたけからとる。粗食のイメージがある精進料理にもかかわらず、多くの野菜が使われるのは、他の精進料理で余った野菜くずを無駄なく用いて作ったからである。けんちん汁には豆腐をくずして入れるが、そのきっかけは、建長寺の初代住職が、修行僧が落としてしまった豆腐を拾い集めて洗い、汁の中に入れたことからという逸話が残っている。 年間を通して食べられるが、根菜を使うこと、また、温かい汁物であることから、寒い時期に特に好まれる。関東の一部地域では節分や恵比寿講など、季節の行事に合わせて食されることもある。 こんにゃく、野菜を食べやすい大きさに切りそろえる。切った材料をごま油で炒めてから、だし汁を加え、弱火で煮込む。野菜がやわらかくなったら、塩、醤油を加えてさらに煮込み、豆腐を手でくずしながら入れる。家庭や地域によって具材などにさまざまなアレンジが加えられている。 家庭で一般的に作られているほか、各地の飲食店でも提供されている。2018年・2019年に建長寺で行われた「建長まつり」では、大鍋で作ったけんちん汁が来場者にふるまわれる催しが行われた。毎年2月に行われる建長寺節分会でも、福男・福女として豆まきに参加する人々の食膳にはけんちん汁が供されている。また、鎌倉市の小学校給食では、地域の郷土料理としてけんちん汁が年3回ほど提供されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/35_1_kanagawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?こしね汁 こしね汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_24_1.jpg こんにゃく | しいたけ | ねぎ 日本 群馬県 10 富岡市 群馬県の南部にある富岡市は自然豊かな街。赤城山、榛名山とともに上毛三山と呼ばれる妙義山があるほか、市の中心を利根川水系の一級河川・鏑川が流れている。さらに温暖な気候であることから肉や野菜などの農畜産物が美味しく育ち、多くの特産物を輩出している。中でも有名なのが、甘楽・富岡地域で栽培されているこんにゃく、しいたけ、ねぎの3つの野菜だ。からっとした富岡市の天候では、湿気を好まないこんにゃくや原木栽培によるしいたけ、太くて立派な下仁田ねぎなどが良く育つ。そこで富岡市婦人会連合会がこれらの農畜産物がたっぷりと入った汁物の郷土料理を考案。「こんにゃく」「しいたけ」「ねぎ」の頭文字を取り、「こしね汁」と名付けた。 世界遺産に登録された富岡製糸場の存在からもわかるように、富岡市はその昔、養蚕の盛んな地域であった。しかし、時代の変化とともに絹製品の消費が少なくなってきたため、代わりに気候を活かした農業が増えていったという。その中でこんにゃくの素となるこんにゃく芋やしいたけの生産が行われるようになり、こしね汁のような郷土料理が作られるようになった。 こんにゃく、しいたけ、ねぎの3つを入れることが決まっているが、それ以外に使う野菜や味噌は家庭によって異なる。ごぼうや里芋、ニンジン、豆腐、豚肉など、地域で採れる農畜産物をたっぷりと入れるのがこしね汁。先に火が通りにくい野菜や肉を炒めてからだし汁で煮て、野菜に火が通ったら味噌や醤油で味付けする。さらに油揚げや豆腐、ねぎなどの火が通りやすいものを後で加えて仕上げる。 現在は家庭料理として親しまれているほか、学校の給食としても提供されている。また、認知度を上げるため、ぐんまの農畜産物を紹介するWebサイト「ぐんまアグリネット」では、大手企業とタイアップしたアレンジレシピを紹介。富岡市で行われている料理教室でも取り上げられている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/32_24_gunma.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?こんにゃくのはちはい こんにゃくのはちはい こんにゃく | 干ししいたけ | 人参 | 里芋 | かんぴょう 日本 香川県 37 東讃地域、中讃地域 こんにゃくを里芋や人参、しいたけなどの具材とともに出汁で煮た郷土料理。名前の由来は、あっさりとした味があまりに美味しいので八杯おかわりした人がいたから、また、こんにゃくを「八杯切り」にするから、調味料の出汁、醤油、酒を合計で八杯加えるからなどと諸説ある。こんにゃくは、昔、中国から仏教とともに精進料理として伝来したといわれている。庶民の食材として親しまれるようになったのは、江戸時代からである。当時は、ハレの日の食べ物で法事や正月に料理に用いた。香川県では、旧琴南町(現まんのう町)や高松市塩江町などでこんにゃくの生産がおこなわれていた。 かつて主要作物としてこんにゃくが生産されていた塩江町上西地域では、寒い日に「こんにゃくのはちはい」がよくつくられた。具材には、旬である大根やさつまいもを使用することもある。 こんにゃくは、3等分したものを三角形に薄く切る。干ししいたけは、水にもどしいちょう切り、里芋は食べやすい大きさに切る。塩でもみ洗いしたかんぴょうを水からゆで、4cmの長さに切り結び目をつくる。だし汁に干ししいたけのもどし汁を加え、こんにゃくや干ししいたけ、里芋、かんぴょうを煮る。途中で適宜アクを取り除く。最後に醤油で味をととのえ、おろししょうがを添える。 現在でも母の味として家庭でつくられており、インターネットなどにはレシピも複数掲載されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/konnyaku_no_hachihai_kagawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?ざく煮 ざく煮 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gunma_14_1.jpg こんにゃく | 根菜 | するめ 日本 群馬県 10 高崎市 群馬ではもともと、秋のえびす講・正月えびす講(春えびす講)や節分などの行事にけんちん汁を食べる習慣がある。このけんちん汁に似た郷土料理で、高崎市で伝承されているのが「ざく煮」である。けんちん汁と同様、祝い事などの際に食べることが一般的ではあるが、特に特別な行事の際に、材料を細かく切って作ることが特徴となっている。また、けんちん汁の場合はまず具材を多めの油でしっかりと炒めるのが特徴だが、ざく煮の場合は油を使わないほか、けんちん汁では加えないするめをだしとして使用する。その歴史は長く、少なくとも60年以上も前から作られていたと言われている。 正月にはお節料理の一品として食べられるほか、節分や祝いの席で供される行事食となっている。また、商売繁盛を願って行われるえびす講でふるまわれることもあるほか、屋敷祭りの定番料理でもあるという。神様に感謝を伝える行事・屋敷祭りでは赤飯や尾頭付き魚(丸干しいわしなど)と一緒にお稲荷様に供え、願い事をしてから家族で食べることが習慣となっている。 一般的なけんちん汁は野菜を油で炒めてからだしで煮込んで味つけを行うが、ざく煮では油を使わず、また、だしにするめを加えることなどが特徴となっている。かつては婚礼時に供されていたため、夫婦が水と油にならないようにという願いが込められてのことだった。婚礼時にはいつものざく煮に結び昆布などを加える。 家庭で一般的に作られているほか、飲食店ではざく煮をアレンジした料理を提供する店舗も見られる。また、高崎市では「子どもが喜ぶ伝統食」講座を開講し、ざく煮の知識や作り方を継承するよう努めている。さらに20年ほど前から数年間、地元JA隣接の店舗でざく煮の販売を行っていたこともあった。今後は地域の公民館などで調理実習を行いながら、ざく煮を継承していくことも検討されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/32_14_gunma.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?さつまえび雑煮 さつまえび雑煮 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kagoshima_29_2.jpg https://www.youtube.com/watch?v=df-BIWY5-7Y 焼きエビまたは干しエビ | 人参 | 干ししいたけ | 餅 | 豆もやし | かまぼこ 里芋・春菊 日本 鹿児島県 46 薩摩半島 日本各地で、その内容に特色があらわれる「雑煮」。出汁の素材や味、中に入れる具材、餅の形状など、地域によってさまざまである。正月の三が日に雑煮を食べる風習は、室町時代に武家の間で祝い膳として雑煮が出され、そこから庶民に広まったといわれている。鹿児島県は地域によって違いがあるが、薩摩地域では椀からはみ出るほど大きなエビがのった「さつまえび雑煮」が知られる。「さつまえび雑煮」がつくられるのは、薩摩藩主の島津家が「えび雑煮」を食べており、それが庶民にも広まったとされている。鹿児島県の出水沖は、古くからエビ漁が盛んで、桁打瀬船(けたうたせぶね)という伝統漁法でエビをとり、それを炭火で乾燥させて焼きエビにしたものを島津家に献上していたという。現在でも年末に干物屋の軒先に焼きエビがつるされている光景が見られ、鹿児島県の冬の風物詩となっている。 正月の三が日に食べられる。エビは長寿、里芋は子孫繁栄、そして“まめまめ”しく元気で働けるようにと豆もやしが主に使用されるのが特徴である。 焼きエビまたは干しエビと干ししいたけは水で戻したら火にかける。干ししいたけに火が通ったらカツオ節を入れ、出汁をとる。人参は飾り切りにしてゆでておく。焼いた餅と具材を器に入れ、だし汁を注ぎ入れていただく。エビの香ばしい香りが口の中に広がり、高級感を感じさせる仕上がりになる。 現在も薩摩地域を中心に正月に食べられている。また、島津家の別邸跡である仙巌園などで、島津家の伝統的な「焼きえび雑煮」を提供するイベントなども開催されており、その歴史と味を後世に引き継ぐ取組みがおこなわれている。しかし、一方で、出水市の伝統的な焼きエビ製造は、漁業者の減少から年々減っているという課題もある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/satsumaebizoni_kagoshima.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?さつま汁 さつま汁 https://www.youtube.com/watch?v=hbPXoegNFNk 鶏肉 | 干ししいたけ | こんにゃく | ごぼう | 人参 | 大根 | 里芋 | 味噌 | ねぎ 日本 鹿児島県 46 県内全域 「さつま汁」とは、鶏肉を使った具だくさんな味噌汁のこと。『薩摩旧伝集』によると、鶏をしめて煮て食べる風習は古くからあったとされる。鹿児島県では、江戸時代から薩摩武士たちが士風高揚のため、盛んに闘鶏をおこなっていた記録があり、その際に負けた鶏をその場でしめ、男たちが野菜と一緒に煮込んで食べたのがはじまりだといわれている。また、闘鶏が禁止された後も、各家庭で鶏が放し飼いにされ、来客がある時や祝いの席のために鶏をしめて調理して食べていたという。現在にいたるまで鶏の飼育が盛んな鹿児島県。県を代表する地鶏のさつま若しゃも、さつま地鶏、黒さつま鶏は「かごしま地鶏」としてブランド化されている。かごしま地鶏は薩摩鶏を原種とし、肉の弾力、甘み、色合いが非常に良く、ブランド鶏として人気がある。薩摩鶏は、江戸時代に闘鶏用に飼育され、現在は観賞用としてのみ飼育されている。このように、古くから鶏は鹿児島県において自給の食料として根づいていたことから、「さつま汁」のほかにも、「鶏刺し」や「鶏飯」、「煮こみ料理」、「やきとり」など、さまざまな鶏料理が親しまれている。 古くは、祝いの席など特別な日に鶏をしめてつくられることが多かった。現在は、特に決まった時期はないが、具だくさんで体が温まるため、寒い冬によく食べられている。 鶏肉、しいたけ、こんにゃく、ごぼう、大根などの具材を炒めたら、だし汁を入れ、煮えたら味噌や調味料を加えて味をととのえていただく。好みでねぎやしょうがなどの薬味を加えても良い。鶏肉の出汁が味噌汁に染み出し、滋味に富む味わいを楽しめる。味付けや鶏肉以外に入れる具材は、家庭や季節によって異なる。 現在も家庭でよくつくられ、親から子へと継承されている。学校でも給食の献立や家庭科の授業でつくる機会もあり、若い世代にも親しまれている。地域のイベントで振る舞われることもある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/satsumajiru_kagoshima.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?ざぶ汁 ざぶ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyazaki_16_1.jpg 人参 | ごぼう | じゃがいも | 大根 | かぼちゃ 日本 宮崎県 45 県央地方東部 「ざぶ汁」は主に根菜類の野菜などの色々な食材を”ざぶざぶ”と煮ることからこの名前がついたといわれている。県央東部に位置する都農町(つのちょう)に主に伝わる郷土料理である。都農町は、西側は尾鈴山、東側は日向灘に面した自然の恵み豊かな町であり、日照時間が長く年間を通して温暖な気候と豊富で良質な水資源に恵まれた県内有数の農業の町でもある。気候を生かしブドウに代表される果樹、トマトやきゅうりなどの野菜、スイートピーなどの花きなどの栽培がさかんであり、「ざぶ汁」に使用される野菜は日向灘に面した温暖な宮崎平野が主な産地となっている。 手に入りやすい野菜でつくられていることから年中食べることができる。行事食というよりは日常の家庭料理として食されている。 いりこと昆布で濃いめの出汁を取る。野菜は皮をむいて小口切り、練り物は薄切りにする。野菜を炒め、だし汁で煮る。砂糖、醤油で味をととのえ、ねぎを散らす。入れる具材が多いため、家にある身近な食材で代用してつくることができる。 いりこや昆布、たくさんの野菜が入った「ざぶ汁」は栄養満点のため、小林市の学校給食の献立にも登場している。また、宮崎県では、昔から食べ継がれている郷土料理を、健康にも配慮して後世に受け継いでいきたいという思いでおこなっている、1日マイナス2gの減塩を目指す運動「へらしお」の中で「ざぶ汁」のレシピが紹介されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/zabujiru_miyazaki.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?サンマのすり身汁 サンマのすり身汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_22_1.jpg サンマ | 大根 | ねぎ | 豆腐 日本 宮城県 04 宮城県 サンマは、金華山沖を代表する魚で、古くから秋の味覚として親しまれてきた。サンマは南の海で生まれて北上し、北の海でえさを食べて産卵のために南下する。北は千島列島から南は沖縄周辺まで南北に移動し、成長する。サンマの漁期は8月から北海道で始まり、金華山沖では10月から11月に最盛期を迎える。サンマやサバなどの青魚に含まれる魚油中の脂肪酸に多く含まれるIPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は動脈硬化を抑え、心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病を予防する食品としても注目されている。庶民の秋の味覚として親しまれているサンマだが、近年は不漁が続き、価格は上がる一方である。地元では新鮮なものは刺身やすしのネタとして生食される。定番は塩をふったシンプルな塩焼きで、大根おろしを添えて出す。また、すり身もよく食されていて、自分でたたいてすり身にするほか、県内のスーパーマーケットや鮮魚店では秋になるとすり身として販売する。大根や白菜などと一緒に汁物に仕立てたものが「サンマのすり身汁」で、家庭や飲食店、イベントなどでも提供される。 サンマの旬である秋になると、スーパーマーケットや鮮魚店でサンマのすり身が売られるようになる。それを丸めてつみれにし、秋野菜と一緒に汁ものにして食す。家庭や飲食店で食べることができる。また、毎年気仙沼や女川などの港町でおこなわれる秋のイベント「サンマ炭火焼お振る舞い」として提供されてる。 サンマのすり身をまるめたものと野菜を煮て食べる。石巻地域では「サンマのすり身汁」の中に松葉になぞらえた大根のひき菜を加えていることから「松葉汁」と称して郷土料理になっている。 各家庭でつくられており、郷土料理の中でもかなり一般的な一品である。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/sanmano_surimi_shiru_miyagi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?さんまのすり身汁 さんまのすり身汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/iwate_18_2.jpg さんま | 大根 | にんじん | 豆腐 | ねぎ | 卵 | 味噌 | しょうゆ 日本 岩手県 03 三陸沿岸地域 岩手県は、さんまの海面漁業の漁獲量が本州1位だ(農林水産省「令和2年漁業・養殖業生産統計」)。以前は、すり身はイワシで作り、サンマは塩焼きや塩炊きにして食べていたが、60年ほど前からさんまの漁獲量が増え、さんまをすり身にして汁物としても食するようになった。しかし近年は水揚げ量が減少傾向である。「さんまのすり身汁」は新鮮なさんまのすり身を団子にして入れた汁もの料理。すり身に練りこんだ調味料とさんまの旨味が汁に溶け込んだ素朴な味わいである。 さんまをすり鉢でよくすることが、ふわっとした美味しいすり身にするコツ。三陸沿岸部では、さんまが出回る時期の定番家庭料理として広く愛されている。 さんまが漁獲される時期に、各家庭で作られる定番料理である。鮮魚店やスーパーですり身が販売されており、手軽に作ることができる。 おろしたさんまをすり鉢ですり、味噌、卵、塩、しょうゆ、酒で味付けする。沸騰させた鍋で団子状にしたすり身を煮た後、大根、にんじん、ねぎ、豆腐を入れて柔らかくなるまで煮る。味付けは味噌の場合と、しょうゆの場合がある。 三陸沿岸地域では家庭料理として根付いている。大船渡市では「さんまフェア」が開催され、さんまのすり身汁をはじめ、市内の店舗で様々なさんまメニューが開発、提供される。また大船渡市では9月30日を「さんまの日」に制定し、給食などでもさんまを食する機会となっている。岩手県は郷土料理を伝承する人や団体を「岩手県食の匠」として認定しており、「さんまのすり身汁」についても「岩手県食の匠」がいる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/28_18_iwate.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?しじみ汁(滋賀県) しじみ汁 シジミ | 昆布 | 味噌 | ねぎ 日本 滋賀県 25 県内全域 「しじみ汁」はセタシジミを使った滋賀県の郷土料理である。日本には3種類の在来シジミが生息している。一つが「ヤマトシジミ」、そして「マシジミ」、最後に「セタシジミ」で、今現在、流通しているシジミのほとんどは、ヤマトシジミだという。滋賀県の「しじみ汁」に使われるセタシジミは、琵琶湖にのみ生息する固有種で、(ヤマトシジミやマシジミと比べて)殻がふっくらと大きく肉厚で身にコクがある。セタシジミは琵琶湖の浅瀬から水深10m弱にかけて生息しているが、砂地の減少など環境悪化により、シジミの生息場所に変化が表れているという。尚、セタシジミは昭和40年頃まで、琵琶湖に多く生息しており、「しじみ汁」をはじめ、しぐれ煮、しじみ飯が日常的に食べられていた。しかし環境の変化に伴い、収穫量が激減しているという。12月から4月に旬を迎えるシジミは身がふっくらとし、美味しくなることから「寒シジミ」とも呼ばれている。とりわけ産卵期を控えた春が美味しいと地元の漁師は言う。 シジミは一晩砂出しして砂を吐かせておく。昆布でとっただし汁にシジミを入れて加熱し、貝の殻をあける。味噌を溶き入れて、一煮立ちさせる。最後にきざみねぎをそえる。 シジミは一晩砂出しして砂を吐かせておく。昆布でとっただし汁にシジミを入れて加熱し、貝の殻をあける。味噌を溶き入れて、一煮立ちさせる。最後にきざみねぎをそえる。 現在、セタシジミは貴重なものとなっているが、漁獲時期である春先にかけて県内の小売店やスーパーマーケットで販売されており、各家庭でも「しじみ汁」がつくられている。飲食店でも提供されているほか、滋賀県守山市では、守山市のPRをかねて自転車で市内をまわるスタンプラリーを開催。各チェックポイントで地元の伝統野菜「矢島かぶら」のおでんや「しじみ汁」などを振る舞うイベントが行われており、県内各所でさまざま取り組まれている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shijimi_jiru_shiga.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?しじみ汁(島根県) しじみ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_05_1.jpg ヤマトシジミ | 小ねぎ 日本 島根県 32 東部地域(出雲地方) 島根県東部の斐伊川(ひいかわ)最下流に位置する宍道湖(しんじこ)は全国で7番目に大きな汽水湖。大粒のヤマトシジミは、国内トップレベルの漁獲量を誇る。全国的にも有名で、宍道湖でとれる代表的な食材「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」の一つに数えられる。出雲地方では、このシジミをを使った「しじみ汁」が日常食として根づいている。宍道湖のシジミをとる漁師はおよそ300名。船上から人力でシジミをとる手掻き操業、船をエンジンで進ませ、動力の力でシジミを獲る機械掻き操業、漁師が浅瀬に入ってシジミをとる入り掻き操業があり、シジミのとり方はさまざまである。シジミをとりすぎないように、漁師1人につき約100kg内に収まるよう採捕量に制限を設けている。シジミの選別は、漁師やその家族の役目。アスファルトに広げたシジミの山を手で鳴らしながら、カラカラと鳴る殻の音を聞きながら身の大きさや質をチェックする。選別されたシジミは、飲食店や宿泊施設などに直卸される。ひと昔前は、シジミをどっさり積んだ箱を乗せたリヤカーをおばあさんが引いて、まちなかを売り歩く光景がよく見られたという。東京の納豆売り、京都の豆腐売りといった物売りと並ぶ、朝の風物詩であった。また、宍道湖だけでなく出雲市にある神西湖(じんざいこ)でも数は少ないがシジミがとれ、地元民に親しまれている。 年間通じてとれるため、日常的に食べられているが、土用に食べる「しじみ汁」はとくに格別とされていた。この時期のシジミは、身が大きく、プリプリとした食感で、栄養価が高いため夏バテ予防としても重用される。 宍道湖周辺では、冬は味噌汁仕立てで、夏はすまし汁風にして食べられていた。シジミが生息していた環境と同じ塩分濃度(1%)で一晩砂出しをし、よく洗ったシジミを火にかけた鍋に入れ、シジミが口を開いたら味噌を入れるのが調理のポイント。シジミの旨味だけでも美味しいが、昆布を入れて相乗効果を味わうのも良い。「シジミは水からヒトクラ、アカガエ(赤貝)はオモせ」という出雲の言い伝えも残っている。ヒトクラとは「一瞬煮立つ」、オモせとは「から蒸し」のことで、これは「シジミは煮すぎるな」という教えである。 県内の各家庭で日常的に食べられているが、生のシジミのほとんどが飲食店や宿泊施設などに卸される。 宍道湖のほとりにある展示館「宍道湖しじみ館」では、シジミの生態やシジミ漁を紹介する資料を展示するほか、冷凍シジミや加工品を購入できる。 松江市の宍道湖漁業協同組合では、産卵前の厚さ14mm以上の宍道湖産しじみを生のままレトルトパックした「しじみ汁のしじみちゃん」を開発。お湯に入れて味噌を溶かすだけで簡単に「しじみ汁」が楽しめる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shijimijiru_shimane.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?じょじょきり じょじょきり https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_25_2.jpg 小麦粉 | 小豆 | 砂糖 日本 愛知県 23 渥美半島を中心に東三河地域 渥美半島は、愛知県の東側に位置する半島で、北に三河湾、南は太平洋に面し、海と山の自然に恵まれた地域である。渥美半島は、沖合を流れる黒潮の影響による温暖な気候、日照時間の長さ、快晴日数の多さと、農業に非常に適した環境である。しかし、かつては大きな河川がなく、常に干害に悩まされ、決して肥沃とはいい難いやせた土質だった。昭和に入って豊川用水ができてからは急速に農業が発展し、野菜と花の収穫において日本有数の農業地帯となった。そんな農業が盛んな渥美半島の農家に明治時代から伝わる料理が「じょじょ切り」である。別称「伊良湖汁粉」とも呼ばれる。うどん状の麺を、砂糖で甘くした汁で煮て食べる。小麦粉で練った細いうどん状の麺のかたちが、ドジョウに似ていることから「じょじょ切り(じょじょはドジョウのこと)」と呼ばれるようになったといわれている。農作業の合間のおやつ代わりに食べられていたため、疲れをとるために砂糖で甘く仕上げているのが特徴である。 かつては、農作業の合間に間食として食べられていた。また、農上がり(田植えや稲刈りなど、農作業における節目)にも食べられていた。 小麦粉に水を入れて少しかために練ったら、のし棒などで薄く伸ばし、1cm幅くらいに切っていく。沸騰させた水の中に入れてゆで、最後に小豆を入れ、多めの砂糖、塩を入れて味をととのえたら食べる。麺のもっちりとした食感と、小豆、砂糖の甘さが口の中に広がる。甘いお汁粉風にして食べるのが一般的だが、里芋、人参などを入れた醤油風味のアレンジも食べられている。醤油風味で食べる時は、主食代わりになったという。 喫茶店のメニューとして取り入れられたほか、学校の給食などでも食べることができる。また、伊良湖自治会が、一部の高齢者しか存在を知らなかった「じょじょ切り」のレシピを聞き、味を再現。いまでも地元の祭りなどで振る舞うなど、料理の継承に努めている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/jojokiri_aichi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?しょっから汁 しょっから汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tokyo_9_1.jpg しょっから(ムロアジ) | アシタバ | サトイモ 日本 東京都 13 式根島、新島、御蔵島 「しょっから汁」とは、小ぶりのムロアジを丸ごとミンチにして塩を加え発酵させた「しょっから」に、アシタバやサトイモなどの島で採れる野菜を加えて煮込んだ汁物。御蔵島を中心に伊豆諸島に伝わる料理で、伊豆大島では「えんばい汁」と呼ばれている。ムロアジは伊豆諸島の食文化に欠かせない魚で、伊豆諸島の名産「くさや」の原料である。くさやの語源は、ムロアジの別名「クサヤモロ」からきているという説と、江戸の魚河岸の間で「くさいからクサヤ」という名前がついたという説もある。「しょっから」はそのムロアジを発酵させた魚醤。塩漬けにして、約1ヶ月程度発酵させて出来上がったしょっからは、独特な匂いと濃厚な旨味に加え栄養分もたっぷり。アシタバとサトイモがしょっからの臭いと塩気を中和する。島に暮らす人々の知恵と、島の特産品の旨味が詰まった一品である。 アシタバとサトイモが獲れる晩秋から冬に食べられてきた。現在はムロアジの漁獲量の減少とともに、作られる機会は減っている。 開いた新鮮なムロアジをミンチ状にし、塩を加えて1~2週間置いて発酵させたものを、あしたばと共にだし汁に入れ、他の具材とともに煮込む。 現在はムロアジが獲れた時に、ごく一部の家庭で作られ継承されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/34_9_tokyo.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?すいとん すいとん 小麦粉 | ゴボウやニンジン | ネギの野菜 日本 群馬県 10 県内全域 昔から米と麦の二毛作が行われてきた群馬では、特に小麦粉の生産が盛ん。それゆえに、おきりこみやまんじゅうなど多様な小麦粉料理が郷土料理として親しまれている。小麦粉を水で溶いて作る「すいとん」もその一つだ。群馬の全域で作られている料理ではあるが、地域によって使う材料や呼び名が少しずつ異なることも。例えば、太田市で作られるすいとんは米粉を用いることが多い。一方藤岡市では、小麦粉で作ることは同じだが、「とっちゃなげ汁」と呼ばれている。水で溶いた小麦粉を「取っては投げる」から、あるいは「父ちゃんが鍋をかき混ぜて作る」からのいずれかが由来という説がある。ほかにも「つめりっこ」、「おつゆだんご」、「ねじっこ」などといった名前で呼ばれることもあり、各地域で独自の文化を形成している。 特に食料不足の時代において、米の代替品として好まれていた。数ある小麦粉を使った郷土料理の中でも、生地をこねたり切ったりする必要がないため、比較的手軽に食べられる日常食として親しまれている。また、小麦粉を水で溶いて作るだけと調理が簡単であるため、量産できて腹持ちが良いことも愛される理由の一つとなっていた。 煮干しなどで取っただし汁に、家庭にある野菜を食べやすい大きさに切って加え、煮込む。しょうゆや味噌で味を調え、水で溶いた小麦粉をスプーンなどでこねて丸め、数分間煮ると出来上がり。野菜は各家庭にあるものを好みで加える。ちなみに、すいとんと似た料理に水分量を減らして弾力を出し、手でちぎって作る「おつみっこ」というものもある。 県内の小学校や中学校などで給食として供されているほか、「ぐんまの郷土料理」としてリーフレットでも紹介。さらに桐生市は、すいとんのレシピをオンラインで公開。群馬の郷土料理として全国的に認知されるよう努めている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/32_2_gunma.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?すったて汁 すったて汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/gifu_16_2.jpg 大豆 | 味噌 | 醤油 日本 岐阜県 21 白川村 「すったて汁」は、茹でた大豆をすり鉢や石臼などですりつぶした「すったて」に、味噌や醤油などを加えた汁物で、合掌造りで有名な世界遺産・白川村で行われる祝い事や報恩講(ほうおんこう)などのハレの場で親しまれている郷土料理である。別名「すりたて汁」とも言われ、他にも、どぶろくに似ていることから「どぶ汁」と呼ばれることもある。食品の保存や流通が今ほど便利でなかったころ、山の奥深い白川村では、やせた土地でも育ち、たくさん収穫できる大豆が貴重なタンパク源として盛んに栽培されていた。その大豆を使い、味噌や豆腐がつくられ、豆腐を作る過程で「すったて汁」が誕生したと言われている。夏場はすぐに悪くなるので、秋から冬、春先までの時期に食されることが多い。 晩秋から春にかけて雪深い白川村で、地域の寄り合いや報恩講の際に、食されてきた。報恩講とは、開祖・親鸞聖人の命日に行われる仏事のこと。 一晩水に浸しておいた大豆を、少しかたいなと思うぐらいまで煮る。煮た豆をすり鉢やミキサーなどですりつぶし、それを鍋に移し、醤油で味をつけ、沸騰寸前まで火を通して完成となる。味付けは、醤油の他に味噌を用いることもある。近年、すったて汁をアレンジした「すったて鍋」が開発され人気を博している。 元々は、すった大豆の旨味を味わうシンプルなすったて汁だが、そこにご当地牛の飛騨牛や地元産のきくらげをプラスするなどして「すったて鍋」が開発され、新たな名物となっている。すったて鍋は、白川村にある飲食店や宿泊施設で味わうことができる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/38_16_gifu.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?すまし雑煮 すまし雑煮 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_03_1.jpg 丸餅 | 岩のり | カツオ節 | アゴ(トビウオ)出汁 | ハゼ出汁 | いりこ出汁 日本 島根県 32 県内全域 醤油仕立てのすまし汁風のつゆに丸い餅を出汁に入れて食べられている雑煮。具は地域によって異なるが餅は丸餅を使う習いがある。東部の具は岩のりとカツオ節のみ。西部は干しアユの出汁を用いることもあり、具は豆腐やこんにゃくなど。西部では他に黒豆とカツオ節のみの雑煮もある。 元旦を祝う行事食である。一級河川の江の川流域では、正月の家族膳のうちの一品として食べられてきた。数の子、煮豆、吸い物、煮しめ、さんとう(大根を使った酢の物)、刺身とともに、「すまし雑煮」が並ぶ。白い餅が入っているのは正月三が日まで。四日目から、よもぎがたくさん入ったてんこ餅に替える習わしがあったが、てんこ餅は、白餅よりも粘りが少なく味わいが落ちる。この習わしは、餅が貴重品ではなくなった現在においては、すたれつつある。 見た目もシンプルであっさりした味わい。すまし汁の出汁は、アゴ出汁やいりこ出汁、ハゼ出汁など地域や家庭によって異なり、個性が現れる。味のベースになるのは塩よりも醤油である。出雲地方では、具に出雲市の十六島(うっぷるい)地域でとれる十六島のりという岩のりを使う。十六島のりは、出雲市の北端、日本海に突き出す十六島鼻と呼ばれる岬周辺でとれる。奈良時代や平安時代には朝廷への献上品として納められていた。その味の評判は、天平時代に編纂された「出雲国風土記」に記載されていたほどである。十六島のりは、現在高級品になっており、手に入りにくく、もみのりなどで代用する家庭も少なくない。カツオ節をたっぷりとかける地域もあり、岩のりとカツオ節が相まって、磯の風味が堪能できる「すまし雑煮」になる。 丸餅は焼かずにゆでて柔らかくする。すまし汁と丸餅を一緒に煮ると、餅が柔らかくなってしまう。そのため、餅は別鍋などでゆでおきしておき、食べる直前にすまし汁に落とすと食べやすい。 現在でも一般家庭で食されている。ひと昔前は、家庭で餅をつくことが珍しくなく、餅つきは暮れと正月の一家団らんの象徴でもあったが、現在は既製品の餅を用いる家庭が多い。郷土食を取り扱うECサイトで販売されているケースもある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/sumashizoni_shimane.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?せんべい汁 せんべい汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aomori_3_1.jpg せんべい | ねぎ | 鶏肉 | 糸こんにゃく | 板麩 | ごぼう | 凍み豆腐 | 人参 | きのこ 日本 青森県 02 八戸市 南部せんべいは旧南部藩の領地だった青森県南東部から岩手県北部にかけての伝統食品で、小麦粉に塩と水を混ぜ鉄製の型で丸く焼いたもの。戦前、農家の多くは鉄製の型を持っており、せんべいは冷害が多く米がよく取れなかった地域の貴重な保存食だった。これを味噌汁や鍋に入れて煮たものが「せんべい汁」だ。起源は諸説あるが、戦前に川で捕れたウグイを使ったあら汁にせんべいを入れて煮たのがきっかけという。この料理は地元で受け継がれたが「せんべい汁」という呼び名が定着したのは平成になってから。家庭でだけ食べる地味な料理と思われていたものを観光客向けの名物にしようと、八戸市の観光団体がPRに乗り出したのだ。現在では全国にその名を知られる地域おこしの立役者となった。 古くは各家庭でせんべいを焼いていたが、戦時中に軍需物資として鉄鍋を供出したことから農家はせんべいをつくらなくなった。戦後、製造業者が汁を吸っても煮崩れせずモチモチした食感のせんべいを開発し、汁用として販売をはじめた。現在では家庭の味噌汁や鍋物で寒い時期に食べるほか、飲食店やイベントで観光客向けにもメジャーな料理として親しまれている。 鶏だし醤油味の鍋に野菜、糸こんにゃくなどを入れ、せんべいを割り入れて煮込んで食べるのがもっとも一般的。お好みでしめじなどのきのこを入れても美味しい。その他、港町らしくタラや焼きサバの塩味仕立て(家庭では手軽にサバ水煮缶を使うことも)、名物である馬肉を使った味噌味の桜鍋など、バリエーションは豊富である。 約200年にもわたって家庭料理として伝わってきたせんべい汁を、観光コンテンツとしてとらえ広く普及させることに成功、今では全国的に有名な郷土料理となった。八戸市内では約200軒の飲食店が提供している。ブームの火付け役となった「八戸せんべい汁研究所」は2003年に結成した市民団体で、ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」の生みの親として知られる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/senbei_jiru_aomori.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?ソーキ汁 ソーキ汁 豚の骨付きあばら肉 日本 沖縄県 47 県内全域 豚を余すところなく料理するが、骨付き肉をよく使う。豚の骨付きあばら肉である軟らかく煮込んですまし仕立てにしたお汁が「ソーキ汁」で、「ソーキ骨のお汁」とも呼ばれている。ソーキ骨を煮付けにし、沖縄そばにのせた「ソーキそば」が県内外では人気だが、県内では「ソーキ汁」のほうがポピュラーである。ソーキ骨は、脂肪と肉が程よいバランスで、香りも良いため、シンプルな吸い物にするとその味わいがダイレクトに楽しめる。おいしく作るコツは、骨から肉が外れるほどやわらかくなるまでじっくりと煮ること。冬場には大根、夏場には冬瓜(とうがん)を入れて作られ、家庭の味として親しまれている。かつては年末に家畜の豚をさばき、お正月を「ソーキ汁」を始めとする豚肉料理で祝った。現在も沖縄県のお正月には欠かせない料理のひとつとなっている。 豚肉正月と言われるほど、沖縄県ではお正月にさまざまな豚肉料理を食す。日頃つつましい生活を送っていた庶民が新年などのハレの日を迎えるために豚を調理し、仏前に供えてから食べられていた。 豚の骨付きあばら肉は、水で洗ってからさらに湯洗いする。昆布を洗って水で戻し、むすび昆布にしておく。干しシイタケは水で戻し、半分に切っておく。鍋に豚の骨付きあばら肉と水を入れて煮立て、アクを丁寧に取り除いたら火を弱め、昆布、シイタケを加える。肉がやわらかくなるまで弱火で 1時間半ほど煮る。途中、塩、醤油で味をつけ、昆布がやわらかくなったらシイタケとともに取り出す。昆布の戻し汁、干しシイタケの戻し汁、かつおだしを足し、吸い物の味に調える。 家庭で一般的に作られるほか、県内の飲食店や学校給食で提供されている。また、小売店でレトルトの販売もされている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/47_10_okinawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?たかきび団子汁 たかきび団子汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/okayama_14_1.jpg たかきび | ごぼう | にんじん | だいこん | しいたけ | ちくわ 日本 岡山県 33 総社市、井原市、高梁市、新見市 たかきびは、中国大陸から入ってきたもので、コウリャンの一種。別名「モロコシキビ」ともいい、アメリカ原産の「トウモロコシ」とは種類が違う。たかきびという名のとおり、高さが3メートルほどにも育ち、先端には赤褐色の小粒がたくさん集まった穂をさげる。気候風土の違いからか、中国のものとは違って、ねばりがあり、芳ばしい風味がある。たかきび粉で団子を作ると、つるりとしたまろやかな舌ざわりでおいしい。たかきび粉を作るには、なかなか手間が掛かる。収穫したものを乾燥させてから、翌年の種は軒下に吊るして残しておく。次に木槌で気長に叩いて、からぬきをする。これを精白して粉にするが、製粉するまでにアク抜きすることが大切。寒に入ると、10日間ぐらい水を換えながら浸しておき、アク抜きしたものを水切りして乾燥させる。乾燥してきたら唐臼でひいたあと、ふるいにかけて、もう一度この粉を保存するために天日干しする。たかきび団子汁は、ごぼうやにんじん、だいこんといった根菜に、しいたけ、ちくわなどを油で炒め、だし汁と醤油で味付けする。この中に、たかきび粉を練って作った小さな団子を入れ食べる。 秋も次第に深まり、気温が下がってくると家族で囲炉裏を囲みながら食べられていた。たかきびは、ひえや粟などと共に昔から食べられていた穀物だが、現在では米が主食になり、あまり食べられなくなってきた。米同様に豊作と無病息災を願って、年に1度は食べる習慣がある。 だし汁に、ごぼう、にんじんを入れて煮る。下ゆでしたこんにゃく、だいこん、ちくわ、油揚げを入れて煮立たせる。練ったたかきび粉を直径1.5cmぐらいに丸めて、鍋に入れる。たかきび団子が浮いてきたら、調味料を加えて味を整え、最後にねぎを入れる。 行事の際に家庭で食べられ継承されている。また、学校給食で出されたり、昔なつかしい味として、地域のイベントで振る舞われたりすることもある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/41_14_okayama.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?たけのこ汁 たけのこ汁 たけのこ | サバ | たまねぎ | 豆腐 | 卵 | 味噌 日本 長野県 20 北信地域 「たけのこ汁」は、根曲がり竹を使った味噌汁で、北信地域と新潟県上越地域で食べられている郷土料理。「根曲がり竹」とは、ちまざさという笹の新芽で、山間部でとれるたけのこのこと。初夏の極わずかな時期にしかとれないため、出回る量が少なく、手に入りにくい希少なたけのこ。多雪地帯特有のもので、アクが少なく味が良いといわれている。一部の地域でははちくを用いることもある。「たけのこ汁」といえば、無くてはならないのがサバの水煮缶。昭和30年代に広まったサバ缶は、海がない長野県では重宝され、以前は高価なものだった。味噌汁にサバを入れるのは地域特有の食べ方で、あっさりとした味噌汁に油とコクが加わり、「たけのこ汁」に欠かせない旨味にもなっている。シンプルにたけのことサバ缶だけでも十分美味しいたけのこ汁になるが、たまねぎ、人参、油揚げ、豆腐、溶き卵などを入れることもある。 根曲がり竹は、5月から6月の初夏に収穫される。アクが少ないので、収穫して直ぐであれば皮を向いてアク抜きせずにゆでて食べることができる。根曲がり竹が出回る時期になると、地元のスーパーマーケットにはサバ缶がずらりと並ぶ。たけのこは、瓶詰めや缶詰にされたものが手軽に購入でき、塩漬けにして保存したものなどを使って一年中楽しめる。 皮をむき、節の硬い部分を切り落としたたけのこを切り鍋に入れ、たまねぎや人参などの具材とサバ缶を加え、水と酒で煮る。たけのこが煮えたら豆腐を加え、味噌を溶く。煮立ち始めたら溶き卵を加える。たけのことサバ缶だけのシンプルな味噌汁から、具沢山の味噌汁など、地域や家庭によってつくり方は様々。たけのこは、「一晩おくと山へ帰る」といわれているほど、時間が経つとアクが強くなる。購入したら、その日のうちに調理する。 現在も、各家庭でよくつくられており、親から子へ継承されている。根曲がり竹は、地元の産直や道の駅で手に入れることができる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/takenoko_jiru_nagano.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?だご汁 だご汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_2_1.jpg 小麦粉 | 里芋 | ごぼう | 人参 | 大根 | 干ししいたけ | 醤油(味噌) 日本 熊本県 43 熊本県内全域 「だこ汁」は、小麦粉(米の粉)を水で練って、しばらく寝かせ、手で延ばしちぎった団子を入れた汁のことで、里芋やごぼうなど季節の野菜を入れ、味噌や醤油仕立てで食べる。手軽につくれて栄養価も高く、腹持ちが良いので、古くから農作業の合間などに食べられ親しまれてきた。「だご」とは熊本弁で「だんご」を意味し、だんご汁とも呼ばれる。九州全般で食されるが、熊本ではだんごにからいも(さつまいも)を使用する地域が多い。生のさつまいもを包んだだんご入りの「いきなりだご汁」(熊本市)や、さつまいもを練り込んで甘味を出し、つるんとした柔らかい食感を出した「おひめさん団子汁」(鹿本菊池地区)、さつまいもと黒砂糖を混ぜた甘い餡をさつまいも入りの生地で包んだ「あん餅だご汁」(合志市)などがある。団子状ではなく、うどんのように生地を延ばし切ったものを入れるところもある。地域や家庭によって材料やつくり方が違い、バラエティーに富んでいるのも魅力の一つ。飲食店でも提供しているところは多いが、「だご汁」を提供する店が並ぶ国道57号線は「だご汁街道」と呼ばれている。 一年を通して食卓にあがるが、特に秋冬には、里芋やごぼうの収穫の時期であり、季節を感じる料理として飲食店のメニューにも登場する。高菜飯との組み合わせをお薦めする人が多い。 干ししいたけや煮干しなどで出汁をとり、麦味噌や白味噌、醤油で仕立てる。具材は里芋やごぼう、人参、白菜などのほか、鶏肉や貝類、山菜などが入る地域もある。 家庭内で受け継がれているほか、学校給食、地域の特色を重視する飲食店のメニューとしても登場する。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/dagojiru_kumamoto.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?たちの味噌汁 たちの味噌汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_11_1.jpg マダラまたはスケソウダラの白子 | 長ねぎ | 味噌 日本 北海道 01 道内全域 北海道では、タラの白子のことを「たち」と呼び、マダラの白子を「真だち」、スケソウダラの白子を「すけだち」と呼び区別する。その白子を丸ごと入れた味噌汁が「たちの味噌汁」。北海道では冬の定番料理となっている。「鱈(タラ)」は、魚偏に雪と書くことからもわかるように、雪が降る寒い季節に旬を迎える魚。なかでも1月ごろから2月ごろが最も味が良いとされる。タラは、既に室町時代から江戸や京都など各地で食べられていたといわれている。当時は、腐敗を防ぐため、腹を切らずに口から内臓を取り出し、そこに塩を入れて運んだため、「腹を切らない(切腹を想像しない食べ物)」ということで武士に喜ばれたという。冷水性魚類に属するマダラの生息水温は2℃から4℃と低い。そのため、海水温が低い北海道周辺に多く分布しており、北海道は全国トップの漁獲量を誇る。また、夏から秋にかけて餌を探すために回遊するスケソウダラは道内ほぼ全域で漁獲される。 タラが旬の冬に家庭料理として食べられることが多い。マダラの白子である「真だち」は高級品として取引きされている。スケソウダラの白子である「すけだち」は晩秋のごろからスーパーマーケットなどの店頭に並び、手ごろな価格で手に入れることができる。 生の「たち」を昆布出汁に入れ、味噌を溶かすシンプルな料理。手軽に美味しくできるので、北海道民にとっては馴染み深い冬の家庭料理。「たち」と長ねぎのみを使用した味噌汁が最もシンプルだが、大根、人参、白菜、たまねぎ、豆腐など、具だくさんにしても美味しく味わえる。季節によって、入れる具材を変えている家庭が多い。煮すぎないように注意が必要で、臭みを取るためにしっかりと塩で洗ったらさっと湯がくのがコツ。 いまでも冬になると家庭で食べられている。回転寿司屋や居酒屋などでもメニューに並んでいることが多い。また、北海道の「真だち」は高級品として知られており、全国のお取り寄せグルメとしても人気がある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tachinomisoshiru_hokkaido.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?だぶ だぶ https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_4_1.jpg 野菜 日本 佐賀県 41 浜玉町、唐津市 佐賀県から福岡県にまたがって伝承されている「だぶ」は、鶏肉と季節の野菜を入れて作る郷土料理である。煮くずれしやすい食材は使わずに、水をたくさん入れて「ざぶざぶ」に仕上げることから、“ざぶ”が訛って「だぶ」と呼ばれるようになった。冠婚葬祭などの客を招待する場面で振る舞われる料理で、慶弔によって材料や切り方に違いが生まれる。唐津エリアでは具材はすべて短冊切りにするのがポピュラーだが、仏事はこんにゃくを三角に切る。また、冠婚葬祭ではレンコンや干しシイタケ、こんにゃく、きくらげ、凍りこんにゃく、鶏肉などを使用するほか、慶事の時は玉麩を入れる。特に浜玉地区ではとろみをつけずに仕上げる。他地域でも、結婚やお祝い事などの慶事には具材は四角に切り、花麩を使用。また、味付けには砂糖を使わない人もいる。反対に弔事では、具材は三角に切り、砂糖を使用。各家庭によって味付けは異なるが、かつては、隣近所など、集落の人が集まり、一度にたくさんの量を共同で作っていたという。 各家庭の冠婚葬祭などの時に、隣近所の人々が集まり作る。また、客を招待する時には必ず作られ、昔から伝わる料理として今でも受け継がれている。 ダイコンやこんにゃく、ゴボウ、ニンジン、サトイモ、焼き豆腐などの具材は1センチの角切りにし、下処理をしておく。だしに入れやわらかく煮、塩や薄口醤油で味をつける。手まり麩、ギンナンを加え、片栗粉でとろみをつけて完成。薄味でさらっと仕上げると、温かくても冷めてもおいしく食べられる。鶏肉の代わりに白身魚を使う地域もある。 家庭で一般的に作られるほか、県内の飲食店でも味わえる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/45_4_saga.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?たら汁 たら汁 スケソウダラ | ごぼう | 長ねぎ 日本 富山県 16 朝日町 富山県の東端にある朝日町は、山側に北アルプス、日本海側にはヒスイの原石が採れる美しいヒスイ海岸が広がる自然豊かな土地。「たら汁」はこの町で発祥した伝統的な汁物である。海岸沿いの国道8号周辺には「たら汁」を提供する店が立ち並び「たら汁街道」とも呼ばれる。朝日町はかつてタラの水揚げ量が豊富で、漁へ出た男たちを温かく出迎えようと漁師の女房たちが流木を集め大鍋を沸かし、味噌とタラを入れ煮込んで作ったのがはじまり。漁に携わった人たちみんなで大鍋を囲み浜辺で円座になって食べていた。美味しさの決め手は、スケソウダラを一匹まるごとぶつ切りにして、身、頭、肝、白子、真子を使って豪快に煮込むこと。鮮度が落ちやすいタラは当時、地元の浜辺で干ダラや一本焼きにして売られていたが、現在は海水温の上昇からか地元ではほとんど獲れず、東北や北海道産が使われている。 タラ漁が盛んだった昭和30~40年代は、舟が小さく冬は漁に出られる日があまりなかったため、スケソウダラが獲れるのは夏秋であった。現在は町の名物料理として季節を問わず一般的に食べられるようになっているが、タラの白子や真子(たらこ)が成長する12~2月頃はタラの旨みがより増すことから冬に好んで食す人も多い。簡単に調理できることから家庭でも日常的に食べられている。 新鮮なタラのはらわたを取り出しぶつ切りにする。その際、キモ(肝臓)は別にしておく。ごぼうはささがきにし、水にさらしてあくを抜いておく。鍋に水を入れ沸騰させたら、味噌を入れてタラの身とキモを加え、煮立ったらあくを取りながら煮る。タラの身が白くなったら、味噌とごぼうを加え、蓋をし、さっと煮立て火を止める。仕上げに刻んだねぎを散らすと彩りが良い。 「たら汁街道」の食堂、民宿、ドライブインなどで味わうことができるほか、夏場の海水浴場でも塩分補給にタラ汁が登場する。毎年10月には「ヒスイ海岸タラ汁まつり」が町内の宮崎漁港周辺で開催され、地元民はもちろん県外からも観光客がやってくる。学校給食のメニューとしても出されている。また、漁村で暮らすお母さんが教えるタラ汁づくり体験も実施されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/37_2_toyama.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?だんご汁 だんご汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/oita_1_1.jpg 小麦粉 | 味噌 日本 大分県 44 県内全域 大分県は台地が発達しており、米づくりに適さない土地が多く、古くから畑を基盤とした麦などの穀物栽培が盛んだった。穀物のほとんどは粉にされたため、大分県では粉食文化が各地に根づいている。「だんご汁」はその代表格である。小麦粉をこねて薄く帯状に引きのばしただんごを具材とともに、九州地方でよく食されている麦味噌、または合わせ味噌や白味噌仕立ての汁に入れていただく。米が不足していた時代に、米の代わりに日常的に食べていた。一般的に“だんご”というと球状にしたものを想像するが、大分の場合は手で引きのばして食される。うどんよりもコシが強く、歯応えを楽しめるのが特徴である。見た目はきしめんのような形状であるが、だんごをつくる際に丸めた状態でしばらく寝かせることから“だんご”と呼ばれるようになったといわれる。その後、薄く帯状にするのは、汁で煮こむ際に味が染み込みやすくするためである。福岡県や熊本県では「だご汁」と呼ばれる。 昔は家庭でも「だんご汁」をよくつくっていたという。祖母や母から子や孫へとつくり方が伝承され現代へと繋がっている。寒い季節を迎えると身体が温まりお腹が満たされる「だんご汁」は秋口から冬の間、よく食卓に上った。大分のソウルフードといえる。 大分の名産である、しいたけやいりこで出汁をとることが多いが、各家庭によって出汁のとり方やだんごののばし方などに違いがあり、バラエティに富んでいる。最近は、人参やねぎ、ごぼう、大根、しいたけ、白菜、肉類など、どの家庭にもある一般的な食材でつくられることが多いが、なかでも里芋は、だんごの独特の食感と相まって、非常に好まれる組み合わせである。「豚汁」と違って肉類は基本的には入れないシンプルな汁物。かつては、地粉でつくられることが多く、噛み締めるほどに旨味を味わえるのが好まれていたが、最近では地粉が手に入りづらくなっている。味噌以外にも醤油ベースで味付けしても美味である。 日常的に家庭で食べられており、学校の給食でも提供されることがある。いまでも地元の祭りやイベントなどで大鍋で振る舞われることもある。「だんご汁」は、大分県においては非常に慣れ親しんだ料理であり、父母や祖父母からつくり方を習う人も多い。だんごをつくる手間を省くため、市販の幅広の麺を代用することもある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/dangojiru_oita.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?チムシンジ チムシンジ 豚レバー 日本 沖縄県 47 県内全域 「チムシンジ」は、「チム(豚レバー)」の「シンジ(煎じ汁)」で、貧血気味や風邪を引いた時など体力が弱まっている時に作られ、食されている。 沖縄県の庶民料理は、亜熱帯の気候風土が育んだ食材を中心に作り出された、独自に発展したものが多い。庶民料理には、「医食同源」を意味する「クスイムン(薬になるもの・滋養食)」「ヌチグスイ(命の薬)」の考え方が根付いている。中国から伝わった、医学的な治療も日常的な食事も源は同じだという考え方で、日々の食事も薬としての料理であった。貧しい中から生まれた食生活の知恵ではあるが、現在でもその理念は残っている。そんなクスイムン(滋養食)は、「シンジムン(煎じ物)」として、肉、魚、野草、薬草、を煮込んで作られている。 病人用の滋養食として作られるクスイムン料理であるため、体に不調がある時に食される。 豚レバーは下処理をして血や臭みを取っておく。豚レバー、豚肉、チデークニ(黄ニンジン)をひと口大に切る。鍋に切った具材と水、またはかつおだしを入れ、強火にかける。沸騰したらあくを取り除きながら弱火でじっくりと煮込む。材料が十分にやわらかくなったら醤油や塩、おろしショウガで味を調える。おわんに盛ったらみじん切りにした青ネギを散らす。 家庭で一般的に作られるほか、県内の飲食店でも味わえる。スーパーなどでレトルト商品の販売もある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/47_17_okinawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?ちょぼ汁 ちょぼ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hyogo_5_1.jpg ささげ豆 | ズイキ | もち粉 日本 兵庫県 28 淡路島 どろっとしただし汁に、団子とささげ豆、ズイキが入っている「ちょぼ汁」は、江戸時代から続く淡路島の伝統的な郷土料理である。お汁粉に似ているように見えるが甘くない。具のささげ豆ともち粉の団子は栄養価が高く、ズイキは古い血をくだし血液をきれいにする作用があると言われ、「産後の乳の出を良くするために嫁に食べさせる」と、母が出産後の娘の体力回復のために作る習慣があった。鍋にたくさん作り、出産のお祝いに集まった親戚や近所にも振る舞う。また、子どものお宮参りの際にも作り、親戚や知人に配る習慣がある。ちょぼ汁の名前の由来は、子どもがかわいいおちょぼ口になるようにとの願いを込めたところからついたという。汁の中に入れる団子は、女の子が生まれたら真ん中をへこませるかまん丸にする、男の子だったら先をとがらせる。そうして子どもの健やかな成長を願う。 出産直後の女性に母親が作って食べさせ、親戚や近所に振る舞う。また、子どものお宮参りの際にも作り、親戚や知人らに配る。 だし汁に、もち粉で作った団子とささげ豆、ズイキと呼ばれる里芋の茎を入れ、煮て、みそを加える。 毎年、1月15日に開催される淡路の農林漁業祭では、JA女性会や生活研究グループの女性らによる手作りのちょぼ汁が振る舞われる(2020年は、ちょぼ汁セットを配布)。また、市内のレストランで提供しているところもある。そのほか、年に1回、学校給食のメニューとして登場している。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/40_5_hyogo.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?つがに汁 つがに汁 ツガニ(モクズガニ) | りゅうきゅう(はすいもの茎) | なす 日本 高知県 39 四万十川、仁淀川、物部川流域 高知県を代表する郷土料理の一つに「つがに汁」がある。ツガニとは、四万十川や仁淀川(によどがわ)などの河川に棲息するモクズガニのこと。「つがに汁」は、ツガニを生きたまま石臼やミキサーで粉砕して、その出汁からつくった汁物料理である。ツガニの旬は、いたどりやクズの花が咲き始めた秋ごろを目安にする。産卵のためにツガニが川を下りると流域では漁がはじまる。ツガニは、体長10cmくらいのものから、大きなものになると体長30cm近くまで成長する。「つがに汁」のほかに、ツガニの甲羅とともに臼でついたものを出汁に使う「つがにそうめん」やツガニを甲羅ごと米と炊く「つがにめし」など、ツガニを使った料理が多数ある。 ツガニの旬は、秋ごろ。産卵期のツガニは、オスより栄養をからだに蓄えたメスのほうが美味しいとされている。近年では、漁獲保護のため、禁漁期間を設けており、8月1日から11月30日がツガニ漁の解禁期間となる。以前は家庭でもよくつくられていたが、ツガニが手に入りにくなったことと手間がかかるため、家庭では昔ほどつくられなくなった。 甲羅(せんごう)とふんどしを外したツガニを石臼で挽き(ミキサーでも良い)、粉砕する。粉砕したツガニをざるに入れて、湯を沸かした鍋の中でこす。適当な大きさに切ったなすやりゅうきゅうを水にさらしてアクを抜いたのち、「つがに汁」に投入。仕上げに醤油や酒で味付けする。火にかける前に、にごりを出すために醤油を入れて食べる地域もある。ツガニの独特のにおいが気になるようなら、しょうがなどを入れて食べると良い。ツガニは毛のついた巨大なハサミを持っているので、取り扱う際には注意が必要。熱湯に入れるとハサミがもげることもあるので、生きたまま水に入れた状態から火にかける。その際は、ツガニが逃げないようにフタをしてゆっくりとゆでる。 ツガニは高知県の名物であるため、旬の時期であれば地元の飲食店や観光施設などで食べることができる。地元のイベントでは「つがに汁」がよく振る舞われる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tsuganijiru_kochi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?つぎ汁 つぎ汁 唐辛子 | 地豆腐 | 干椎茸 日本 岐阜県 21 郡上市明宝寒水(かのみず)地 明宝寒水(かのみず)地区の郷土料理「つぎ汁」は、ここでしか味わうことのできない珍しいお吸い物で、唐辛子の辛みと砂糖の甘み、小さく角切りにされたかための地豆腐が入っているのが特徴。別名「辛汁(からじる)」とも呼ばれている。名前の由来は、汁をついでまわる「きったて」と呼ばれる専用の容器から、1本の箸を使い混ぜながらお椀を持った人についでまわることから、「つぎ汁」の名がついたといわれている。明宝寒水地区にある寺院で、毎年10月に行われる報恩講(ほうおんこう)の際に参拝者に振る舞われる。 明宝寒水地区にある寺院では、年に1度の「報恩講」の際に、参拝者は米を納め、寺からは檀家持ち寄りの精進料理とつぎ汁が振る舞われるという仏事が行われる。つぎ汁は報恩講のほかにも、結婚式や葬儀が行われるときなど、人々が集まる特別な日に作る料理として伝えられている。 たっぷりの唐辛子をから煎りし、風味を出してから、干椎茸などからとっただし汁と一緒に丁寧に煮出し、そこに水分が出て汁が薄まらないようにと小さく角切りにした地元のかたい豆腐を加え、醤油や砂糖で味を整える。深いだしの風味と砂糖の甘さ、唐辛子の辛さが特徴の郷土料理である。 今では家での集まりも減り、家庭で食す機会は少なくなってきたが、明宝寒水地区の飲食店で提供されている。また、郡上市観光連盟がホームページで紹介するなど、伝承に努めている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/38_24_gifu.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?つけけんちん つけけんちん https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/ibaraki_2_1.jpg そば | 里芋 | 大根 | 人参 | こんにゃく | 豆腐 | 生しいたけ 日本 茨城県 08 県内全域 茨城県は、朝晩の寒暖差が大きく、水捌けの良い傾斜地が多いことから、江戸時代からそば栽培が盛んであった。現在でも、北海道、長野県、栃木県に次ぐ収穫量を誇り、関東のそばどころとしても知られている。昭和53年(1978年)から、そばブランド品種の育成に取り組み、「常陸秋そば」として味・香りともに品質の高いブランド品種が誕生した。その香りの良さは評判となり、首都圏のそばの名店でも使用されているほど、県外にもファンが多い。根菜類がよくとれる茨城県では「けんちん汁」もよくつくられたため、「けんちん汁」にそばをつけて食べるのが風習になった。江戸時代の後期にはすでに「つけけんちん」が食べられていたといわれている。旧暦の新年(現在の節分の時期)にそばを食べる「つけけんちん」の風習は水戸藩から広がったといわれている。いまも、北部地域を中心に茨城県全域で食べられており、地域に深く根づいている郷土料理である。 農作物の収穫の大半が済む11月も半ばになると、祭りのためのごちそうの一つとして、よく「つけけんちん」や「けんちんそば」をつくった。いまでは1年中食べることができるが、特に新そばが出る秋から冬は、寒さが厳しくなることもあり、よく食べられる。いまでも県内の飲食店や各家庭でも広く食べられている。「けんちん汁」の具材は、季節によって旬の食材を使用するなど、家庭ごとに特徴がある。 里芋、大根、ごぼう、こんにゃく、ねぎ、人参などを炒め、味噌と醤油、みりんで味付けをした温かい「けんちん汁」に、ざるそばを別にそえていただく。太めのそばを使うのが特徴である。なお、「けんちん汁」にそばを入れて食べる場合は、「けんちんそば」と呼ばれる。他県でも「けんちんそば」は食べられているが、「つけけんちん」はこの地域独特の食べ方である。 茨城県のブランド品種である「常陸秋そば」の紹介と合わせて、県のホームページをはじめとしたさまざまメディアで発信している。「常陸秋そば」の新そばの季節に「常陸秋そば」にまつわるフェアやキャンペーンが実施され、このタイミングで「つけけんちん」も大々的にPRされる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tukekenchin_ibaraki.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?つぼん汁 つぼん汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/kumamoto_7_1.jpg https://www.youtube.com/watch?v=Zt3__m62nBA 鶏肉 | 干ししいたけ | 里芋 | かまぼこ | こんにゃく | 人参 | 焼き豆腐 日本 熊本県 43 人吉球磨地域 「つぼん汁」は、鶏肉、かまぼこのほか、里芋、ごぼう、人参、大根など根菜の野菜を小さめに切り、いりこ出汁で煮て醤油味で仕上げた具だくさんの汁もので、野菜の旨味が溶けだした優しい味わいだ。もともとは人吉球磨地域で、秋祭りに供される会席膳の一つで、現在は正月や祭りなどでもつくられている。特に祝い事には欠かせない料理であり、そのとき具材は7種類か9種類など奇数でそろえるという。名前の由来は、会席膳では浅いお椀と深いお椀を使うが、蓋付きの深い椀に汁を盛り付けていたことから、「壺の汁」と呼ばれ、それが変化して「つぼん汁」という名が付いた。各地域や家庭でそれぞれ出汁や材料、切り方などに違いがある。例えば人吉地区(おくんちさん)では焼き豆腐、球磨郡あさぎり町(八幡さん)では厚揚げ、多良木町(えびすさん)では油揚げを入れる。出汁もいりこのほか、干ししいたけ、地鶏、焼きエビなどさまざまに受け継がれている。 昔から秋祭りは、実りの秋に感謝し、農作や豊漁を祝う祭りとして各地でおこなわれてきた。そんな秋祭りにかかせない料理だった「つぼん汁」が、いつしか正月や祝い事でもつくられるようになり定着していった。 祝い事の際には赤飯とお煮しめとともに食べる。例えば人吉市の国宝・青井阿蘇神社で秋(旧暦9月9日)におこなわれる「おくんち祭」では、必ず赤飯とお煮しめとセットでつぼん汁が供される。煮しめに使う食材の切れ端を、無駄のないように小さく切って「つぼん汁」の具にして食してきた。食材をまるごといただく風習からうまれた一品でもある。 行事食として各家庭で受け継がれているほか、学校給食でも提供されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tsubon_jiru_kumamoto.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?つぼ煮 つぼ煮 干しくごみ | にんじん | 里芋 | 油揚げ 日本 富山県 16 立山町 立山町の芦峅寺エリアは、日本三大霊山のひとつ立山連峰の玄関口にあたり、江戸時代には立山信仰の里として登拝者が集う宿坊が軒を連ねていた。「つぼ煮」はここの宿坊でかつて振る舞われていた精進料理のひとつであるが、現在は一般家庭にも広まり食べ継がれている。名前の由来は、底の深いつぼ椀と呼ばれる蓋の付いた朱塗りの器に盛って提供されていたことにちなむ。具材の主役となるのが、春の山菜であるくごみ。クサソテツの新芽の別称で、地域によってはこごみとも呼ばれている。旬の時期が短い山菜ではあるが、一年中使えるように春に摘み取り日干しして乾燥させ保存しているので、一年中「つぼ煮」は作ることが可能だ。くごみのほか、にんじん、里芋、油揚げなども入るため具だくさん。醤油ベースのだし汁は、くごみの旨みが染み出していて、山の恵みを感じる滋味深い味わいとなっている。 元々は宿坊の精進料理だったこともあり、葬儀や法事、お盆の際などの膳に作られるようになり、現在は普段の食事でも日常的に食べられている。乾燥させた干しくごみを使うため、季節を問わず味わうことができる。 干しくごみはゆでて戻し2日ぐらい水にさらしておく。にんじん、里芋、油揚げなどの具材を食べやすい大きさに切る。くごみ、にんじんを油で炒め、だし汁とそのほかの具材も加えて煮込む。材料がやわらかくなったら、醤油など調味料を加えて味を整え、さらにじっくりと煮詰めてゆく。くごみは油で炒めることでうまみが引き出される。 立山町の芦峅寺エリアには、かつて宿坊で食べていた精進料理を出す食事処があり、「つぼ煮」もそこで味わえる。山の日に開催される「立山。山の日ウィーク」などのイベント時に振る舞われることもある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/37_29_toyama.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?つぼ汁 つぼ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/nagasaki_27_1.jpg もめん豆腐 | ごぼう | 干し椎茸 | こんにゃく 日本 長崎県 42 雪浦地区 「つぼ汁」は、西海市雪浦地区の郷土料理。地域によって「いんげん汁」や「つぼき」と呼ばれている。ルーツは定かではないが、昔から法事の精進料理として食べられてきた。名称にある「つぼ」は、料理を盛るお椀を坪に見立てていることからきていると考えられる。 昔から法事のときにだされる精進料理として各家庭で作られてきた。最近は懐かしい味あるいは独自の郷土料理ということで、さまざまな集まりやイベントなどで供されることが増えている。 具材は家庭によってさまざまだが、基本的には精進料理であるため、肉や魚は使わない。ごぼう、干し椎茸、とうふ、こんにゃくなどを細かく切って入れるだけ。味付けは醤油、塩、砂糖でシンプルに行う。砂糖の甘みを抑えるため、食べる時にすりおろした生姜を入れることもある。 雪浦地区の『郷土料理愛好会』は、毎年開催される『雪浦ウィーク』中、全国からの来場者のために「つぼ汁」が入った料理セットを低料金で提供するなどしている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/46_27_nagasaki.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?つみっこ つみっこ https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saitama_14_1.jpg 小麦粉 日本 埼玉県 11 秩父地域、本庄市 昔から小麦の栽培が盛んだった埼玉県は、うどん文化が根付いているが、本庄市や秩父地域で愛される「つみっこ」は、うどんよりも手早くつくれることから、特に忙しい時に重宝した郷土料理だ。いわゆる「すいとん」のことで、地域によっては「とっちゃなげ」や「だんご」「つめっこ」と呼ばれることがある。「つみっこ」という名称は、「つみとる」という意味の本庄地方の方言で、小麦を水で練って作った生地を「つみとる」ようにちぎって鍋に入れたことから、このように呼ばれるようになったと伝わる。地元でとれた小麦粉と季節の野菜をたっぷりと使うため、優しく滋味深い味わいの上、栄養バランスが良い。秩父地域では、学校給食でも提供されている。 秩父地域では農家の忙しい時の食事としてつくられており、本庄市では、かつて養蚕や機織りが盛んだった頃に仕事の合間に食べられていた。このことからも分かるように、手早くつくれる「つみっこ」は、忙しい日に手早くつくり、食される日常食であった。 小麦粉に水を加え、よくこねたら丸くまとめて寝かせておく。シイタケやニンジン、長ネギなど季節の野菜を食べやすい大きさに切り、だし汁鍋で煮る。野菜に火が通ったらこねておいた生地を引っ張ってちぎり、鍋に入れていく。生地がやわらかい場合はスプーンを使うとよい。火が通ったら醤油で味をつけ、ひと煮立ちさせる。生地にすりおろした大和芋や卵を加えるとやわらかく仕上がる。お好みで七味を振り、いただく。 家庭でつくられるほか、一部地域の学校給食や県内の飲食店でも味わえる。本庄では、「つみっこ合戦ファイナル」というイベントが2019年に開催され、スタンダードな「つみっこ」のほか、豆乳ごま風味、ミネストローネ風などがふるまわれた。また、「つみっこ」の普及啓発活動を行う「武州本庄つみっこ研究会」が、各種イベントで「つみっこ」を提供している。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/33_14_saitama.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?つみれ煮 つみれ煮 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_14_1.jpg 沖ギス | アジ | トビウオ | ごぼう | 人参 日本 島根県 32 出雲地方、石見地方、隠岐地域 島根県は海岸線の長さが1.026kmと長く、全国で10番目の長さを誇る。その沖合には対馬暖流が北東に向かって流れており、漁場に最適な環境が整っている。漁法も多様性に富み、まき網漁や底びき網漁、定置網漁、一本釣り漁などがおこなわれている。それらの漁法で収穫した沖ギス、アジ、アゴ(トビウオ)などはすり身にされ、ごぼうやねぎの入ったつみれにして「つみれ煮」や「つみれ汁」などにして食べられている。特に沖ギスの「つみれ煮」は地元民のおすすめ。全長20cmほどでそれほど大きくない沖ギスは1匹だけではそれほど食べごたえがない。何尾かまとめてミンチにして、つみれにすれば料理の手間も省ける。沖ギスとは地元での呼称で、正式な魚名は「ニギス」である。沖ギスのほか「トンコロイワシ」と呼ぶ地域もある。沖ギスは通年手に入りやすい。ひと昔前は、沖ギスのたっぷり入ったトロ箱が店頭に並んでいるのが、鮮魚店の馴染みの風景だったという。値段が比較的手ごろなので食卓に上がる出番は少なくない。年中脂がのっており「サンマにも引けをとらない」という地元民の声もあるほど。白身の魚でクセがない。 「つみれ煮」で使われる沖ギスは1年を通して流通し、日常食として親しまれている。12月から2月が旬といわれて、特に脂ののりが良い。鮮度が落ちるのが早いため、漁獲された沖ギスの多くが一夜干しなどに加工される。新鮮な状態で、刺身やつみれを食べられるのは、地元ならではの楽しみである。 「つみれ煮」は人参やごぼうといった季節の野菜を入れて、蒸すか、出汁でゆでる。しょうが汁でさっぱりとした風味を加えたり、つなぎのためにヤマイモを加えても良い。包丁で細かくミンチ状にしていれば、小骨も気にならない。つみれにする以外に、はんぺん状にして成形して揚げ物にしたり、なめろうにして食べる場合もある。 沖ギスは鮮魚店やスーパーマーケットなどで販売されている。ミンチ状にして販売されているときもある。つみれの状態にして冷凍保存もできるので使い勝手が良い。地元の飲食店で沖ギスだけでなく、アジ、トビウオなど地元でとれる魚を、それぞれの調理法で「つみれ煮」として食すことができる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/tsumireni_shimane.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?つんきーだご汁 つんきーだご汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_13_1.jpg https://www.youtube.com/watch?v=O_IpHTZgJZE 野菜 | 小麦粉 日本 佐賀県 41 県内全域 佐賀県に伝わる郷土料理「平だご」「だご汁」は、ともにだごを使ったもの。“だご”とは、“だんご”がなまった言葉で、「平だご」は平たい小麦の生地をゆで、黒糖をかけていただくおやつだ。一方「だご汁」は、小麦粉で作っただんごをたっぷりの旬の野菜とともに煮込んだ汁物。「だんご汁」や「ねばだごじゅ」「ひらひぼ汁」「つんきーだご汁」など、だんごの形状や地域によって呼び名が変わるとされている。中でも「つんきーだご汁」は、武雄弁でちぎるという意味の“つんきー”から、だんごを手でちぎって作ることが分かる。佐賀県のほかに、熊本県や大分県、宮崎県などの広い地域で、寒い日に体を温める料理として食べられている。具材もさまざまで、基本的には旬の野菜を使用する。また、鶏肉の代わりにクジラ肉を使ったり、小豆を入れたりする地域もあると言われている。 麦作りが盛んな佐賀県では、白米や茶粥などの主食がない時の代用品として食べられてきた。昔は主食の一品であったが、現在では副食の位置付けで食べられることが多い。また、かつて農家では田植えや稲刈りなどで朝から日暮れまで仕事をしており、間食や夜食として食べられていたという。 サトイモやニンジンなどの野菜をひと口大の乱切りにする。野菜とだし汁を合わせて煮て、火が通ったら、湯で耳たぶほどのやわらかさまでこねた小麦のだんごをひと口大にちぎり、鍋に入れる。煮えたら、味噌、または醤油で味付けする。だんごに蒸してつぶしたサツマイモを合わせると、冷えてもかたくならない。 家庭で一般的に作られるほか、県内の飲食店でも味わえる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/45_13_saga.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?てっぽう汁 てっぽう汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/hokkaido_4_1.jpg カニ | 長ねぎ | 豆腐 | 味噌 日本 北海道 01 道東地域(主に根室地方) 北海道の特に道東地域では、カニを入れた味噌汁のことを「てっぽう汁」と呼ぶ。「てっぽう汁」は、古くから根室地方の漁師料理として食べられてきた。その名の由来は、箸でカニの足をつついて食べる様子が鉄砲に弾を詰める仕草に似ていることから「てっぽう汁」と名付けられたといわれている。「てっぽう汁」で使われる食材で特に有名なのが、根室地方で水揚げされる花咲ガニである(花咲ガニはカニという名が付いているが、正確にはヤドカリの仲間に分類される。タラバガニの近縁種)。昨今では、花咲ガニの漁獲量は減少し、収穫時期も6月から9月と3ヶ月しかないため、貴重な食材となっている。生の花咲ガニは色の濃い茶褐色であるが、ゆで上げると花が咲いたような朱色に変わることから、花咲ガニと名付けられたという説もある。甲羅全体にあるトゲも特徴の一つである。 道東地域では、花咲ガニのとれる夏から秋にかけて「てっぽう汁」は食べられてきた。現在は冷凍したカニや、ほかの地域では冬にとれるカニを使用して「てっぽう汁」をつくることもあるため、年間を通じて食べられている。 「てっぽう汁」に使う食材は花咲ガ二がよく知られているが、毛ガニ、タラバガニ、ズワイガニなどの北海道でとれるほかのカニを使うこともよくある。つくり方は、カニと好みの野菜を昆布出汁で煮こみ、味噌で味付けして、最後に豆腐と長ねぎを入れるだけのシンプルな料理。カニから出てくる出汁によって旨味のある美味しい「てっぽう汁」ができあがる。調理が手軽な上に美味しく食べられるため、家庭料理としても人気がある。使う野菜は家庭によって長ねぎや大根などが用いられることがあるが、野菜を入れずにカニ本来の出汁と旨味を味わうこともある。 根室市では、花咲ガニのとれる夏に毎年、「根室かに祭り」が開催される。そこでは必ず「てっぽう汁」が振る舞われる。そのほかの根室地方の祭りやイベントでも、振る舞われることが多い。花咲ガニはお取り寄せグルメとしても全国的に人気が高く、花咲ガニの販売と合わせて「てっぽう汁」のレシピを推奨することが多い。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/teppojiru_hokkaido.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?とうがん汁 とうがん汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/aichi_17_1.jpg とうがん | とり肉 | 干ししいたけ 日本 愛知県 23 尾張地域・西三河地域を中心に県全域 愛知県は、とうがんの出荷量が沖縄に次ぐ全国第2位で、とうがん料理も広く浸透している。とうがんはインドが原産で、中国を経由して日本にもたらされたといわれる。奈良時代の文献にとうがんの記載があり、古くから食べられていた食材であったことがうかがえる。夏が旬の野菜であるが、皮が厚くかたいので冷暗所などで保存をすれば冬までもつほど日持ちの良い野菜だったため、“冬瓜(とうがん)”と名付けられたといわれる。明治時代から栽培されている小ぶりのとうがん「早生とうがん」が愛知県の伝統野菜として知られ、熟した実は白い粉がつくのが特徴である。近年は品種改良によって小ぶりのものが増えているが、昔は大ぶりだったため、戦後の食糧難の時代によく食べられていたという。早生とうがんは、その白い粉が手につくことから敬遠され、近年は琉球とうがんの栽培が主流である。とうがんは淡白な味わいで味が染みやすいのでさまざまな料理に合うため、味噌汁や煮物、炒め物などさまざまな料理で使われている。数あるとうがん料理の中で親しまれているのが、とうがんに出汁がきいたあんをかけた「とうがん汁」である。 7月から10月のとうがんの収穫時期に食べられる。95%以上が水分のため、夏の水分補給になるほか、淡白な味わいのため食欲が減りがちな夏のメニューに重宝されている。冷やして食べたり、熱々にして夏の暑気払いとして食すこともある。 とうがんのわたをとり、食べやすい大きさにカットして皮をむいたら、とり肉としいたけなどの具材とともに出汁で煮ていく。具材に火が通ったら、片栗粉でとろみをつけ、馴染んだら食べる。とうがん以外の具材は家庭によって異なるが、出汁がよく出るものが好まれるので、油揚げを入れるのも人気である。とうがんの皮は、口当たりをなめらかにしたい場合は、厚めに切ると良い。一方、皮を薄めに切ると、食感を楽しめるほか、皮の緑色が少し残り煮込んだ時の色合いが良くなる。出汁は、カツオや煮干しでなく、干ししいたけの出汁でつくることが多い。 現在も、夏になるとスーパーマーケットなどでとうがんが出回るため、各家庭で「とうがん汁」がつくられる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/toganjiru_aichi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?ドジョウのけんちん汁 ドジョウのけんちん汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/shimane_17_1.jpg ドジョウ | ごぼう | しいたけ | 人参 | 大根 日本 島根県 32 東部地域(安来市) 安来市に古くから伝わる民謡「安来節(やすぎぶし)」。ざるを手にしてユーモラスな振り付けで踊る「どじょうすくい」の所作がお馴染みである。このどじょうすくいのジェスチャーは、一説によると砂鉄精選の作業場で働く男たちの所作を取り入れたものだとされている。ドジョウはドジョウでも、川魚の「ドジョウ」ではなく「土壌」だったというわけである。とはいえ、安来節が生まれる以前より、安来市にはドジョウ食文化が根づいていた。「ウナギ1匹 ドジョウ1匹」といわれるように、精をつけるための養生食だったのだ。江戸時代末期に松江藩が領内の産物をまとめた「出雲国産物名充」の魚類の項にもドジョウが記録されているほど、身近な食材だったのである。ドジョウの生産量が全国第2位の安来市では、戦後に養殖事業が本格的に始まった。現在は、田んぼで育てた「青空ドジョウ」のブランディングに力を注ぐ。ドジョウ料理は唐揚げや柳川鍋、甘露煮などさまざまだが、ドジョウと一緒に島根県の山の幸をふんだんに入れてつくる「ドジョウのけんちん汁」は人気がある。 初夏の産卵期は脂がのって美味しいといわれている。夏に出荷のピークを迎える。むかしは田植えを終えたあとの「泥落とし」のときなどに食べられていた。現在は、一般家庭の食卓に上がることは少なく、郷土料理を振る舞う飲食店で目にすることが多い。 味噌仕立てで食べられることもあるが、すまし汁に入れても美味である。油を敷いた鍋でドジョウを炒めたら、お湯を注いで出汁を加える。人参や大根といった季節の根菜のほか、しいたけや豆腐などを加えても良い。砂糖を入れるとより味わいが増す。ドジョウを油で炒めるとき、鍋の中ではねて暴れることがある。事前に、日本酒を注いだ鍋にドジョウを入れて、ふたをしてしばらく置いておくと大人しくなり調理しやすくなる。 シーズン中は、スーパーマーケットや生産組合などで新鮮なドジョウを購入できる。昔は田んぼや川でよく見る淡水魚であったが、いまでは希少な高級魚となってしまい、食す機会も減少しているという。そのため、安来市では地元名産のドジョウを継承するため、ドジョウのご当地グルメの開発にも取り組んでおり、地元有志の飲食店がドジョウを使ったカレー寿司やオムライスなどを提供している。情報提供元 : 島根県調理師会連合会常任理事森井優氏 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/dojonokenchinjiru_shimane.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?どじょう汁(栃木県) どじょう汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_28_1.jpg どじょう | ねぎ | ごぼう | たまねぎ 日本 栃木県 09 栃木県平野部 「どじょう汁」は夏に決まって作る料理のひとつ。厳しい夏場に暑さを乗り切ろうと食べられていた。内陸性の気候で寒暖の差が大きな栃木県は、夏季は暑さが厳しく、冬季は寒い日が続く。どじょうをはじめとする川魚は、海から離れた内陸部では、貴重なたんぱく源で、用水堀がコンクリートで施される以前、宇都宮周辺地域ではどじょうはごく普通に見られていた身近な川魚であった。田んぼを作る農家では、夏になると田んぼの水口(みなくち)にふたをしてどじょうを獲り、どじょう汁にして食べた。小さい子どもには、親が身を剥がし食べさせていた。左手でどじょうの頭の下をつまんで、右手のはしで頭の下から尾にかけて身をそぎ落とすと、きれいに身が剥がれて食べやすくなる。 (宇都宮市)の一部地域では、昔から七月の暑い最中に行われる八坂神社の祭りの昼食にどじょう汁がつきものになっている。暑さに体力を失いがちな夏場にどじょうを食べると精力がつくと喜ばれ、丸ごと食べるどじょう汁は不足しがちなカルシウムの供給源にもなる。 どじょうを水切りしてから鍋に、酒をひたひたに入れ、醤油を少々注ぎふたをして火にかけ動きをとめる。ねぎやごぼうを入れ、溶き卵を加えていただく。うどんを加えて食べてもおいしい。どじょう料理は、かば焼き、丸煮、天ぷらなどがあるが、どじょう汁は一番手軽な食べ方である。 宇都宮市では、地域の祭りを復活させ、当時のように昼食にどじょう汁を振るまうなど、地元に伝わる文化の継承に取り組んでいる地域もある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/31_28_tochigi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?どじょう汁(香川県) どじょう汁 ドジョウ | ごぼう | なす | 里芋 | 長ねぎ | 油揚げ | 打ち込み用うどん 日本 香川県 37 中讃地域および東讃地域の一部 ドジョウは、産卵期前の6月から7月が年間で最も美味しいとされる。ウナギよりも脂肪分が少ないものの、ビタミンやミネラルが豊富に含まれる。煮ると骨まで食べられるため栄養バランスが良い食材として親しまれてきた。田植えが終わり農作業が一段落すると、昔は男性がため池や川からドジョウをとってきた。「どじょう汁」は、ごぼうや里芋、長ねぎなどの野菜や打ち立てのうどんと共に煮込む土用の夏バテ予防の料理であり、男性が中心となって調理をおこなってきた。また、集落の共同作業や寄り合いには、大釜でドジョウを炊き、近所や親戚に振舞っていたため、親睦を深める役割も担っていた。環境の変化に伴い天然ドジョウを見る機会は減っているが、「どじょう汁」の食習慣は今でも続いている。 夏バテ防止の料理として土用に食べられてきた。家々が交代でつくる夏の行事に欠かせないごちそうであった。 鍋に水を入れ火にかける。ごぼう、なす、里芋、油揚げを切る。ドジョウは水切りし酒と共にバケツに入れる。酒に酔ってドジョウの動きが止まったら塩でもみぬめりをとる。沸騰した鍋に油揚げ、里芋、なすを入れ、煮えた後に水洗いしたドジョウを加える。再度沸騰したらうどんを入れ軽く混ぜる。うどんが煮えたら残りの具材を加え、味噌、酒で味付けする。好みの薬味を添えていただく。 県内には「どじょううどん」として提供している飲食店がある。また、集落の共同作業や集会があれば今でも振舞われている。近年、ドジョウは高級魚となっているものの、「どじょう汁」を食べる習慣のある町では、味比べができるイベントを開催するなど次世代への継承に取組んでいる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/dojou_jiru_kagawa.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?とろろ汁 とろろ汁 自然薯(じねんじょ) 日本 静岡県 22 中部地域(静岡市) 「とろろ汁」は自然薯をすりおろし、だし汁と味噌で割ったもので、麦飯にかけて食べる料理。自然薯は「やまのいも」ともいわれ、長さ1.5メートル、直径3センチほどの大きさ。本州、四国、九州の山野に自生するが、栽培をしているところもある。静岡県内の野生の自然薯は、主に中部地域が産地だが、西部地域、東部地域でも収穫される。「とろろ汁」の歴史は古く、東海道五十三次の20番目の宿場町であった丸子(まりこ。現在の静岡市駿河区丸子地区)の名物で、スタミナがつく料理として旅人に人気があったとされる。十返舎一九の小説『東海道中膝栗毛』や歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」、松尾芭蕉の俳句「梅若菜 丸子の宿の とろろ汁」にも登場している。 自然薯の収穫時期が10月中旬から12月なので、秋から冬にかけてよく食される。正月2日に食べ、1年間の健康を祈る地域もある。 自然薯をおろし金ですりおろし、すり鉢でよくする。そこに、だし汁と味噌、醤油を合わせたものを少しずつ加えて、さらによくすって、のばす。できあがったら、ご飯にかけて海苔をちらして食す。地域によって、自然薯をすりおろし、すり鉢でするときに卵を加えたり、だし汁を加えるときに味噌と醤油を合わせるのではなく、醤油のみと合わせたりするところもある。 家庭料理として作られ、継承されているほか、飲食店でも提供されている。自然薯は、静岡市内の直売所やネットでも販売されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/36_4_shizuoka.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?どんがら汁 どんがら汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/yamagata_2_1.jpg https://www.youtube.com/watch?v=sIuEQN-jY9I 寒ダラ(内臓もすべて) | 味噌 | ねぎ | 岩のり 日本 山形県 06 庄内地域 マダラは、日本海の荒波の中で産卵期を迎える魚であり、庄内地域の冬の味覚として親しまれている。「鱈」は魚偏に雪と書くことからもわかるように、雪が降る季節に旬を迎える魚。とくに庄内地域では、二十四節気の寒の季節(1月上旬から2月上旬ごろ)にとれるマダラを“寒ダラ”と呼び、この時期、産卵のために集まってきた寒ダラを底びき網で漁獲する寒鱈漁が盛んになる。新鮮なものは刺身や昆布じめにして食べるほか、味噌漬けや粕漬けも定番である。白子はトロリとした食感が特徴であり、近年では新鮮なものは、すしネタにも使われる。「どんがら汁」は、寒ダラを使った冬の郷土料理。もともとは漁師が浜で食べていた漁師料理といわれている。寒ダラの頭から尻尾まですべて余すことなく使うのが特徴。“どんがら”は、あらを指す言葉。「どんがら汁」は、寒ダラのあらを煮るあら汁なのでこの名前がついた。「寒鱈汁」の別名もある。毎年1月には寒ダラを食べる「寒鱈まつり」が庄内地域の酒田市や鶴岡市を中心におこなわれ、「どんがら汁」が振る舞われる。 庄内地域の冬の定番料理として根づいている。1月中旬から2月にかけて家庭料理として食べられるほか、旅館や料理店で冬の名物メニューとして提供される。また各地で開かれる「寒鱈まつり」でも食べることができる。 寒ダラは捨てるところがない魚といわれており、「どんがら汁」も身を骨ごとぶつ切りにして、内臓もすべて鍋に入れて煮こむ。味の決め手は肝や白子の部分で、最も脂ののった「あぶらわた(肝)」を味噌ベースのスープに溶いたり、一口大に切って煮こんだりしてコクのある味わいに仕上げる。”どんがら”の風味を味わうため、本来はねぎは入れず、岩のりのみをそえるという。産卵期のマダラは卵や白子でお腹が丸くふくれていて、なかでも4kg以上のものが美味しいとされている。美味しいマダラは、目が輝いていてエラが濃い赤色をしていること、外見に艶があり黒く光沢があるものを選ぶと良い。 地元の飲食店や家庭料理でも食べられる冬の定番メニュー。「寒鱈まつり」でも振る舞われるため、地元での認知度は高い。また、「どんがら汁(寒鱈汁)」セットとしてパック詰めされたものがスーパーマーケットなどでも販売されているところもある。庄内地域はもとより、学校給食のメニューとして提供している地域もある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/dongarajiru_yamagata.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?どんこ汁(岩手県) どんこ汁 どんこ | 大根 | 人参 | 豆腐 | じゃがいも | ねぎ | 味噌 日本 岩手県 03 三陸沿岸地域 「どんこ」とは三陸沿岸でよく獲れるエゾイソアイナメ、チゴダラのこと。どんこは冬になると身が締まり、肝にも脂が乗る。身はクセがない白身で上品な味わいで、一般的に味噌汁や鍋物の具として好まれる。濃厚で脂肪分のある肝を使うのもポイント。白身で淡泊な味は産後の肥立ちに良いとされ、体力回復の料理として食されてきた。また「大きな口からたくさん入って、小さな尻から出ていきにくい」として、お金が貯まる縁起魚ともいわれ、陰暦10月20日の恵比寿講に尾頭付きのどんこ汁を神前に供え豊漁を祈願した。気仙地方では現在もこの習慣が続いている。秋仕舞い(庭仕舞い)の際に食べられる地域もある。どんこは汁物以外にも、たたき、なます、塩焼き、干物、田楽などの方法でも食される。 陰暦10月20日の恵比寿講の際に、尾頭付きのどんこ汁を神前に供えた。また秋仕舞い(庭仕舞い)の際に食べる地域もある。現在も、冬の味覚として家庭で食されている。 大根、人参、じゃがいもを大きめに切って煮た後、ぶつ切りにしたどんこの切り身と肝臓を入れて静かに煮込み、豆腐を入れ味噌で調味し最後にねぎを加える。 家庭でも作られるため、季節になると「どんこ」はスーパーや鮮魚店に並び、鍋や汁物用にさばいたものを販売している店舗もある。鮮魚を扱う居酒屋などで「どんこ汁」を提供する店舗もあるが、数は少ない。岩手県は郷土料理を伝承する人や団体を「岩手県食の匠」として認定しており、「どんこ汁」についても「岩手県食の匠」がいる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/28_23_iwate.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?どんこ汁(宮城県) どんこ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/miyagi_11_1.jpg どんこ | 大根 | 人参 | 豆腐 | じゃがいも | ねぎ | 味噌 日本 宮城県 04 三陸沿岸地域 ドンコは、エゾイソアイナメ、チゴダラの別名で、秋から冬にかけて旬を迎える魚である。宮城県内では主に石巻港と気仙沼港で水揚げされ、漁獲量は年々減っている。口が大きく腹が膨れ、尾にかけて細くなることから、「大きな口からたくさん入って、小さな尻から出ていきにくい」として、お金が貯まる縁起魚ともいわれている。それゆえ、気仙沼地方では大漁、商売繁盛を祈願してえびす講の日に神棚につるし、それを汁にして食べる風習がある。ドンコは冬になると身が締まり、肝も脂がのって一段と美味しくなり、身と骨が柔らかであるのが特徴。白身で身にも皮にもクセがなく、タラのような上品な味わいがある。身よりも肝のほうが好まれる傾向にあり、三陸地方では古くからなめろう、丸焼き、から揚げ、鍋や汁物にして食されてきたが、いずれの料理にも肝は濃厚な風味を与えてくれる。「どんこ汁」は、味噌と相性の良いドンコをたっぷりと用いた冬の味覚。体を芯から温める郷土料理として、沿岸部を中心によく食されている。つくり方は各家庭によってさまざまだが、大根、人参などの野菜、豆腐と一緒に調理されることが多い。 秋から冬にかけて旬を迎えるので、この時期は宮城県内のスーパーマーケットでも販売される。「どんこ汁」は、家庭料理として食べることが多い。また、冬場に県外からの客人をもてなすときの汁物として提供されることもある。 ドンコを丸ごと購入した場合は、鱗(うろこ)をとって腹を裂き、内臓をとりだす。切り身の場合はそのままで、味噌汁をつくる要領で調理する。大根やニンジン、ごぼうなどの野菜と合わせ、椀に盛り付けて提供する。薬味として七味や柚子胡椒を合わせることも。 家庭の味として、母から子へ伝承されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/donko_jiru_miyagi.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?どんこ汁(福島県) どんこ汁 ドンコ | 大根 | 豆腐 | ねぎ 日本 福島県 07 宮城県内全域 「どんこ」は北海道の函館周辺から福島県浜通り地方の沿岸に生息している魚。正式名称は「エゾイソアイナメ」といい、価格帯が手頃でおいしいことから、県内の家庭でよく活用されている。たたきや焼き物など、各地域でさまざまな料理が根づいているが、相馬市で主に食べられているのが「どんこ汁」。どんこを野菜とともに煮込んだ汁料理で、身と肝を使って作り、どんこのうまみを凝縮した味わいとなっている。ちなみにどんこは鮮度が落ちるのが早く、刺身で食べられるのは主に現地のみなのだという。 夏から秋にかけて、どんこ釣りの時期がやってくる。数メートルの浅場にまでやってくるので、どんこ釣りを楽しみにしている人も多い。また、秋から冬にかけて釣れるどんこは肝が入っており、この時期が旬と言われている。 鍋に大根、にんじん、白菜を入れて煮込み、下処理したどんこを加えてさらに煮込んで、最後に味噌を溶いて味つけする。仕上げにねぎを入れてひと煮立ちさせたら完成。どんこのうまみが染み渡る一品。 福島県相馬市では旬の魚をPRする「海の味まつり」とともに「どんこまつり」を行い、どんこの認知拡大に努めている。また、来場客にどんこ汁を無料、食べ放題で振る舞い、どんこ汁をよりたくさんの人に知ってもらえるよう尽力している。復興イベントではどんこの肝を使った「ドンコ肝つみれ汁」が供されたという。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/30_30_fukushima.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?なまぐさ汁 なまぐさ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukui_2_1.jpg https://www.youtube.com/watch?v=vI1DTiUCVN0 焼きサバ | 麩 | 豆腐 | ちくわ | 生しいたけ | しめじ | かまぼこ | ねぎ 日本 福井県 18 小浜市新保区 若狭湾での中心地だった小浜市は、”背負い”と呼ばれる京都まで魚を徒歩で運ぶ”鯖街道”の出発点であった。古くは飛鳥・奈良時代から都の朝廷に食材を納めることを認められた「御食国(みけつくに)」として知られ、食に関して重要な役割を担っていた。特に宮川地区にある六つの集落のうち、新保地域には新保山城(霞美ヶ城)があり、山を越えての食材も手に入りやすかった。その恩恵を受け、この地域だけでつくられてきた伝承料理が「なまぐさ汁」である。焼きサバ(竹串にさした鯖の丸焼き)を使ってつくられ、サバの旨味とすこし甘みがある”すまし汁”で、名前からイメージする生臭さは全くなく、かつては精進明け(一定期間 喪に服すために肉や酒を絶ったあと)や祝い事の席では欠かせなかった。御食国の時代以降、現在でも、若狭湾の海産物は全国でも「若狭もの」として珍重される。 現在でも建前などの祝い事や、法事などでつくる家もある。 焼きサバの頭と骨でだし汁をとったあと、きのこやちくわ・豆腐などを入れ、サバの身をほぐし入れて煮て、たっぷりのねぎを入れる。具たくさんで汁というよりおかずに近い。 福井県が首都圏のメディアに向けて「なまぐさ汁」などの伝統食を食してもらう「ふくい食文化講座」を開催していた(平成29年~令和元年)。また、小浜市では、平成27年(2015年)3月14日に”御食国若狭おばま食文化館”がリニューアルオープンし、「なまぐさ汁」は郷土料理として館内に展示されており、キッチンスタジオにおける調理体験メニューとしても人気がある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/namagusa_jiru_fukui.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?にぐい にぐい https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/fukuoka_9_1.jpg 鶏肉 | 里芋 | 人参 | れんこん | ごぼう 日本 福岡県 40 豊前地域 鶏肉の入らない精進料理がはじまりといわれ、仏事に必ずつくり、結婚式などの祝いごとの時にもつくる。里芋、こんにゃく、人参、しいたけ、油揚げ、花麩、れんこんなどの中から奇数の材料を選び、それぞれ三、四分角くらいに切る。醤油と塩に砂糖は隠し味程度にし、具だくさんのおつゆ(吸い物)のような味つけでだし汁で煮る。「にぐい」は通常の煮物よりも具材を小さくひと口サイズに切り、汁たっぷりでつくられる。その味は、心がほどけるようなほっとする味。一度目は汁物としていただき、時間が経って汁気がなくなってきた煮物状態を「二度目」と数え、「二度食う」ことから「にぐい」といわれてきた。筑豊地方では「だぶ」とも呼ばれており、仕上げにくず粉や片栗粉でとろみをつける。 お祭りや冠婚葬祭にはなくてはならない料理。かつては客人などが来た時に飼っていた鶏を使ってつくったという特別なごちそうで、一緒に鶏飯や鶏のスープもつくることが多かったという。 野菜も鶏肉も1.5cmの角切りにする。野菜は煮崩れないように下煮してゆでこぼす。鍋に鶏肉をいれ野菜、出汁をいれて煮あげる。途中で調味し、全体が煮えた時が食べ頃。 地域の食材で手軽で簡単につくれるため、学校現場の食教育で教材としても取り入れられ、定番の副菜としてつくられている。その栄養バランスの良さから、給食の献立に取り入れているところも多い。また、大勢が集まるイベントや行事などで大量につくり、来場者に振る舞うこともある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nigui_fukuoka.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?ぬっぺい汁/八杯汁 ぬっぺい汁 八杯汁 豆腐 | 干ししいたけ | ねぎ | しょうゆ | 塩 | 長芋 | 片栗粉 日本 岩手県 03 県全域 「八杯汁」は、豆腐、干ししいたけ、ねぎを醤油味の汁に入れ、片栗粉でとろみをつける料理である。古くから冠婚葬祭や法事の時の精進料理として食されていた。名前の由来は「一丁の豆腐で八杯分できるから」とも「美味しくて八杯(たくさん)おかわりしてしまうから」とも言われている。豆腐が主役ともいえるシンプルな料理。県央地域では「八杯豆腐」とも呼ばれる。片栗粉ではなくすりおろした長芋をかけてとろみをつけたものが「ぬっぺい汁」と呼ばれる。また、宮崎県、福島県、青森県、山形県、愛知県などにも「八杯汁」があり、地方によってはすりおろしたしょうがを加えるところもある。 冠婚葬祭や法事の際に、精進料理のひとつとして年間を通して食される。また普段の料理としても、豆腐を中心としたお吸い物として食される。 豆腐、干ししいたけを細切りにする。干ししいたけを入れてしょうゆで味付けをした汁に豆腐を入れ、煮立たせる。水溶き片栗粉でとろみをつけ、仕上げに小口切りにしたねぎを入れる。片栗粉ではなく、すりおろした長芋でとろみをつけると「ぬっぺい汁」になる。 現在も精進料理として食される習慣がある。また、家庭料理としても食されるなど、地元の生活に根付いている料理と言える。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/28_30_iwate.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?のっぺ のっぺ https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/niigata_1_1.jpg ホタテ貝柱 | 干ししいたけ | たけのこ | 里芋 | 人参 | こんにゃく | かまぼこ | ぎんなん | 塩サケ 日本 新潟県 15 新潟県内全域 「のっぺ」は、新潟の代表的な家庭料理であり、日本全国いたるところにある郷土料理。全国各地に点在する「のっぺい汁」とは違い、新潟の「のっぺ」は汁物というより煮物である。里芋を主材料とし、野菜やきのこなどを薄味で煮たものにとろみがついているもので、青味にはさやえんどうが使われる。さやえんどうが手に入らない冬は「ととまめ」を散らす。ととまめはサケの卵のこと。これをほぐして塩を混ぜて保存し、必要に応じてゆでて使う。新潟は雪深い土地のため、買い物もままならない日にたくさんつくり、雪を冷蔵庫代わりにして鍋ごと雪の中で保存していた。その名残りからか「のっぺ」を冷やして食べたりもする。昔は出汁に貝柱を使っていたが、最近は鶏肉や新巻ザケを小さく切って入れたりもする。とろみの出し方は、里芋をたくさん使ってそのぬめりでつけるところ、片栗粉を使うところ、汁の多いもの少ないものがあり、呼び方も「こにも」、「大海」「こくしょう」「いとこ煮」「のっぺい汁」など地域によってさまざまである。その家独自の味で工夫され、具材、切り方、つくり方、食べ方はバリエーション豊かだ。家庭の味として母から子へと引き継がれ、古くから食べられている「のっぺ」は、新潟のおふくろの味として親しまれている。 正月料理の定番だが、一年を通して食べられている。お祭りや法事、婚礼など、振る舞いがあると、新潟県ではどこの家でも必ず「のっぺ」をつくる。たとえ、おせちは仕出し屋からとっても、「のっぺ」だけはその家でつくるところも多い。 「のっぺ」は煮汁をにごらせないようにすることが大切であり、あまりくたくたに煮込まない。縁起をかつぎ、材料の品数は奇数にするところや、祝い事では野菜を丸く切ったり太めの短冊にしたり、仏事では乱切りや細い短冊、三角切りにすることもある。冷やしても美味しく、夏は冷たくして、冬は温かいままなど、どちらでも美味しく食べることができる。 アレンジが加わりながらも各家庭のつくり方で母から子へと受け継がれている。新潟県の小中学校では、「のっぺ」を給食の献立に取り入れることもある。飲食店では、居酒屋のメニューで提供しているところもあり、スーパーマーケットの惣菜売り場にも並ぶ。最近は、駅弁でも売られている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/noppe_niigata.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?のっぺい のっぺい 里芋 | 人参 | 大根 | こんにゃく | 油揚げ | ちくわ | 干ししいたけ | ごぼう | かまぼこ | れんこん | たけのこ 日本 三重県 24 伊賀食文化圏 全国的にも有名な郷土料理のひとつである「のっぺい」は、のっぺい汁、のっぺ、ぬっぺいなど、他県でもさまざまな呼び方があり、親しまれている料理である。里芋が必ず入ることから収穫時期にあわせて冬に食べられることが多く、人参、ごぼう、大根など根菜類が入り、油炒めしないのが特徴である。伊賀地域においても代表的な冬のおかずとして食べられ、大量につくって最初は具だくさんの汁物として食し、その後温めなおして最後は煮物のような状態で食べられている。この地域は三重県の中で唯一海に面していないので魚料理に恵まれず、大豆加工品や魚肉加工品(竹輪やかまぼこなど)はごちそうであり、一昔前までは地域の祭りや、家庭の祝い事、法事・葬式などの精進落としなど、事あるごとにつくられてきたという。なお、のっぺいという料理名は江戸時代初期(1643年)発行の料理書「料理物語」の中に、「のっぺいとう」の名で出てくるが、これは「炒りどり」のような料理でうどんの粉でとろみをつけるとある。伊賀地域では1694年に松尾芭蕉が門人たちを招いた「月見の会」の献立の中に「麩ののっぺい」があり、献立名だけ残っているので、多くの方々が試行錯誤して復元されているが、料理物語のつくり方に近いらしい。現在ののっぺいは随分変化していることが理解できる。 冬の家庭料理として欠かせないものである。献立に窮すると「今夜はのっぺいにしようか」というくらい、定番の家庭料理である。 使用する食材はその時々で異なるが、根菜類はそれぞれ下処理して大きさを大体そろえる。里芋が入ることで汁にとろみがつき、冷えにくいので身体が温まる。京文化の影響と思われるが、味や汁の色は非常に薄く仕上がり、一人ずつ盛り付けていただく。一度にたくさんつくっておき、毎日火を入れて温め直すうちに、煮詰まっていき、つくり始めは汁物料理のようでも、最後には普通の煮物風になる。 地域でよく知られており、老若男女問わず、好まれる料理であることから、家庭でよくつくられている。また名張市では「のっぺい汁」として学校給食で提供されている。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/noppei_mie.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?のっぺ汁 のっぺ汁 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/saga_7_1.jpg 揚げ豆腐 | 野菜 日本 佐賀県 41 県内全域 「のっぺ汁」は、佐賀県の家庭で伝わる汁物で、「のっぺい汁」や「ぬっぺい汁」と呼ばれることもある。“のっぺ”や“のっぺい”とは、片栗粉で汁にとろりとした濃度をつけていることを意味し、そのとろみとサトイモやゴボウなどの根菜がたくさん入っているのが特徴。日常的な食事に、特に冬、体を温める一品として食べられていた。また、人が集まる日にもよく食べられており、行事によって入れる具材が異なる。例えば、お祝いには鶏肉、結婚などのおめでたい日にはあずき、供養の席では肉を入れずに花麩など。野菜など具だくさんで醤油、塩などによる味付けは変わらない。 冬の寒い時に体を温める汁物として日常的に食べられているほか、冠婚葬祭でも食される。仏事にはしいたけとごぼうを味だしとして入れ、祝いの時には鶏肉を入れる。また、結婚式などめでたい席ではあずきを入れることもある。 サトイモやサツマイモ、ゴボウ、レンコンなどの野菜をさいの目に切り、さっとゆでておく。鶏肉やかまぼこ、ちくわなどの具材もさいの目に切る。だしで材料を煮て、火が通ったら塩や醤油で味を調え、水溶き片栗粉でとろみをつける。だしは昆布、鶏ガラ、干しシイタケなどを使い、揚げ豆腐のしめ汁(豆腐を炊いたあとの煮しめた汁)や、酒・みりんなどを入れて煮込んでも良い。彩りをよくするために豆麩を入れたり、青色を補うためにグリンピースを散らしたりすることもある。 家庭で一般的につくられるほか、県内の飲食店でも味わえる。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/45_7_saga.html
https://data.hacca.jp/merci/gotouti/lod/?ばっとう汁・だんご汁(すいとん) ばっとう汁 だんご汁 | すいとん https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/img/tochigi_17_2.jpg じゃがいも | にんじん | しいたけ | ごぼう | 豚肉 | 小麦粉 日本 栃木県 09 栃木県全域 野菜の入ったみそ汁に練った小麦粉や米粉を入れたものを一般には「すいとん」というが、全国各地に各様の「すいとん」があり呼び名も様々である。県内では那須塩原市の旧西那須野地区では「ばっとう汁」、那珂川町旧馬頭地区では「はっとう汁」といい、「法度汁」が訛ったものだといわれる。「だんご汁」という所は宇都宮市旧上河内地区、日光市旧栗山地区、那須塩原市旧西那須野地区等で、佐野市の葛生地区では、団子を手で取ってつまんで落とすことから「とっちゃなぎ」ともいった。かつては水田の少ない地域で、米の不足を補う食べ物として日常的に食卓に並ぶ家庭料理であった。具材はその時期の季節野菜を使って通年食べられる。調理の手軽さからも、現在でも家庭の味として親しまれる料理である。 日常的に食卓に並んだ家庭料理。おかずがいらないので、忙しい時や米の足りない時などに作った。特に冬は体が温まるので作られる機会が多く、季節により小麦粉のほか、米粉を使うこともある。具の野菜は季節によってかえてもよい。 ボールに卵を割り入れ、水と塩少々を入れてかき混ぜた中に小麦粉を加え、よく混ぜて団子の生地を作る。この時、小麦粉は、耳たぶより若干柔らかいくらいに練っておく。じゃがいもやごぼうは切って水につけ、にんじん、しいたけ、豚肉も切る。切った野菜を入れた味噌汁の中に、こねた小麦粉をスプーンやしゃもじの角ですくい取りながら入れる。みそ汁はこんぶとかつお節でだし汁をとっておく。ねぎを入れたみそ汁もよく合う。 現在でも家庭で日常的に作られている。また、那須町商工会ではすいとん提供店や宿泊施設を紹介するパンフレットを作成し、地域の郷土料理をPRしている地域もある。 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/31_17_tochigi.html
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